感想風早と爽子の関係は、現状ほぼ破局状態(お互い好きな気持ちは変わらず)。
立て直そうとする爽子と道筋が見えない風早。
そして事情を知ったくるみや健人も苦しんでいる様子を描きます。
君に届けはみんなで解決する物語
今回を見て「君に届け」は、人間関係のお話なんだなと改めて思いました。
基本的には爽子と風早の恋物語は作品のにおけるメインディッシュですが、
そのメインの関係だけでは無く、様々な人と人の関係を、キッチリ描く作品なのです。

今回はついにくるみちゃんが再び物語に本格参戦します。
爽子は風早に振られた事、ならびに事情をくるみに話します。
しかしくるみは、爽子に「戦っていない」「風早の事、何にも見ていない」と一蹴。
おそらく、くるみは爽子の態度を見て「何でこの女に負けたのと」ガッカリしたのでしょう。
ここでは、爽子とくるみの風早をお互い好きな二人の関係を描きます。
次に学園祭の準備で、山車を深夜に制作しようとする時、
先生が風早に爽子の件を聞き出します。先生は大体事情を理解したようです。
先生は先生なりに「諦めちまえ」と風早に状況の整理とヒントを与えました。
ここでは風早と先生の関係が描かれます。
そして女性陣も学園祭の準備で大忙し。
ここで爽子は吉田と二人きりで話す機会があったのですが、
爽子はくるみの「(風早への想いは)言葉にした」という言葉を意識してか、
吉田に好意の言葉を向けます。そして上機嫌になる吉田。
居合わせた矢野は「言葉で人は変わる」という言葉を発します。
どうやら爽子はこの事で「言葉にすること」の意味と効果を実感したようです。
ここでは爽子と吉田+矢野の関係が描かれます。
最後に注目すべきは、吉田・矢野・健人・くるみの4人。このメンバー、つまり風早・爽子の主要関係者が一堂に会しました。
ここで吉田・矢野、特に矢野は健人に二人の関係に干渉するなと忠告。
くるみは己の本気と爽子の不甲斐なさを非難し、
また茶々とも受け取られない発言をした健人をはたいて去ります。
一方、健人は何かとみんなの関係に首をツッコミたがりますが
矢野から
「自分が良く見られたい」だけという言葉で一蹴します。
今回だけでも、様々な人間が話し、交流し、心を交し合います。
爽子と風早の恋に今回だけでも、ざっと上に挙げた人間が、関わってくるのです。
この中で、くるみは傷つき、健人はスタンスを全否定されるなど大変です。
でもこうした展開は嘘・虚構ではなく、むしろ現実的であり、リアルです。
たった一つの恋を成就させるだけでも、みんながどれだけ悩み苦しむか。
「君の届け」はこうした人と人の間を描いた作品だと思います。
そして様々なキャラクターがそれぞれの価値観で動く。
風早と爽子だけではない、みんなの思惑もそれぞれ絡み合う。
様々なキャラがいる事で、物語の状況や展開に応じて
視聴者側は爽子・風早またはくるみに感情移入できる仕組みになっている。
こうした一種の群像劇を描く点が、視聴者にリアルに感じられ面白いのでしょう。
一方ではここまで恋物語は複雑しているのかと感じました。
昔の恋物語であれば、良くて三角関係ぐらいだったのに、
この作品では多くのクラスメートや先生までも絡んでいる。
今の時代の複雑化と、クラス全体のポジションまで考えながら
恋をしていかねばならない時代性を感じさせてくれます。くるみちゃんは面白い!!
くるみちゃんが出てくると、物語は俄然面白くなりましたね。
感情的で本音をズバズバ言う彼女は、本作の切り札・ジョーカー役ですね。
くるみちゃんと平野綾が持つ声質というか演技が抜群に相性がいいです!!
今回、そのくるみちゃんのジョーカー役が際立ち、
爽子に風早とどう接すれば良いかというキッカケを与えましたね。
特に「風早の事、何にも見ていない」という指摘は良かったです。
私も2期の2話の感想で、爽子は自分がイメージした風早=虚像に囚われていて、
本当の風早=実像を見ていないと書きました。爽子が風早と話せるには、ただ憧れるだけではなく、
本当の風早を理解し、自分から踏み出さなければいけないのでしょうね。
やはりくるみちゃんが言うと説得力が違います!!まとめ
今回は龍が爽子に言った「言葉足らず」という言葉が、最も明快なアドバイスでした。爽子がくるみちゃんとの絡み以降、いよいよ本気になってくれたようです。
こうした爽子の挫折、そして復活にも吉田・矢野ちん、くるみちゃん。
そして友達の家へ快く送り出してくれた両親も含め、
様々な人間の後押しがあってこそなのだと思いました。

お母さんの配慮が無ければ、今回の爽子と吉田の和解も無かったでしょう。
その意味ではお母さん、良い仕事をしています!!
人と人の関係、そして恋の魅力を描こうとしている本作。
まだまだ爽子は風早に風早は爽子に想いは「届いて」いませんが、
やっと一歩踏み出したかのような印象です。またちょっと意識がずれていた健人も、今回でズレを調整してくるでしょう。
段々とかみ合わない歯車がかみ合ってくる予兆を見せた今回でした。