リトバス23話。すごく面白かった。
監督の山川吉樹さんのコンテは感情を高ぶらせてくれる。
鮮烈な画面を見せてくれる。

世界が繋がっていく瞬間を見せていたのが面白かった。
非日常な戦地状態のクドの故郷と日常の理樹達がいる学校。
非日常と日常の二つの落差を見せることで、クドの過酷な試練が描かれた。
爆破は起き、銃弾の音は聞こえ、前までいた学校の平和性とは全く違う世界。
今までのリトバス世界では、ありえない光景に愕然とした。

そんなクドがいる悲惨な場所のことを理樹達も理解する。
でも自分たちは何もできない。ただ理樹達ができるのは願うことのみ。
その理樹達の願いが、理樹が持っていたクドのお母さんの片身をクドの前へ現れる。

物理的にも隔たりのある世界が一瞬に繋がる瞬間。
奇跡といえば、奇跡なのだろうが、
いや世界が理樹達とクドの間で繋がっているからこそ、起こる必然ともいうべきか。
この辺りは原作未プレイなので、なんともいえないが、
何かしらこの描写に対する解答や裏付けはあるのだろう。

ただこの奇跡ともいえる必然によってクドは救われ、
みんなの後押しで前に一歩進むことができた。
外の世界へ旅立っていったクドが、学校へ戻ってきたのだ。
野球という日常の中に、クドが再び戻ってくる以下のショットには感極まるものがあった。

key作品の前身でもある麻枝准さんの企画のADVゲーム「ONE 〜輝く季節へ〜」は、
過去の妹を失ったトラウマが原因で、永遠の世界に行ってしまった主人公が
現実世界にいた少女との触れ合いがあった事によって、現実世界に帰還できる話だ。
今回のクドの旅立ちと、旅立ち後の困難、そして学校への帰還は、
このONEにあった、違う世界(クドの故郷・戦地)へ行ってしまいつつも、
他者との触れ合いがあった事で、元の世界に帰還できるモチーフを彷彿とさせた。
麻枝さんは、旅立っていった少女が戻ってくる話も好きなのだろう。
(逆にAIRの観鈴は旅立ってしまったわけだが)

他者との触れ合い/思い出/願いが人を変え、後押しし、元いた世界に帰還する。
リトルバスターズにおけるクドの物語は、
麻枝准さんが「ONE」以降も描き続けた
人の触れ合いの意味を再確認できる内容だったといえるだろう。
世界は自分と他者で成り立っているものだということを。