はじめに
荻原規子さんのファンタジー小説「RDG レッドデータガール」のアニメが放送開始。
アニメーション制作はP.A.WORKS、キャラクター原案は岸田メルさん、
監督は篠原俊哉さんということで、期待している方も多かったのではないだろうか。
1話は煮え切らない泉水子がどうなるかが今後のポイントのようにも見えた。
また、多くの謎を孕んでいて、その謎が今後の期待へ繋がっていくのだろうと感じた。
さて1話を見たところ、本作はあるモチーフが多用されていることに気づいた。
それは曲線・曲線状(流線的)のモチーフである。
当記事では、この曲線モチーフを通してRDGが何を描くのかについて考えてみたい。
曲線モチーフの例
さて、実際に曲線モチーフを見てみよう。

まずカーブミラーに映るのは主人公の鈴原泉水子達が乗る車。
この車が描く軌道はカーブ(曲線)である。

俯瞰してみると、道路はS字形をしている。

泉水子が住む、熊野古道の風景。これもまた、川がS字形の曲線を描いている。

教室の扉に立てかけられた「三年教室」。
この「三年教室」と描かれた木片を支える木が曲線を描いている。

このアングルからだと、A字状に見える橋。橋を支えるものが曲線状になっている。

バレーの授業中に鈴原泉水子に襲うバレーボールの起動もまた曲線を描く。

「校長室」。「三年教室」と同様。

泉水子の頭についているコードも曲線的である。

先ほど出た川と違うがこれもまた曲線を描く。

幼少時代の相楽深行と鈴原泉水子。
深行が泉水子に投げるボールの軌道もまた曲線である。

こちらはEDのワンシーンなのだが、
扇子が曲線状に動く描写が多用されている。

そしてOPタイトルのロゴをみても、
特にRの字が曲線的に誇張して書かれているのがわかる。
以上のように1話の時点で徹底して、曲線状のもの、
もしくは曲線状の軌道を描いてきたのがわかる。
終わりに~曲線モチーフを通して描きたいもの
こうした曲線・曲線状のモチーフがどこに掛かるのかといえば

泉水子の切った髪(変化したいという象徴の表れであり、曲線状)に掛かってくるのである。

泉水子は引っ込み思案な自分を何とか変化をしたい為に髪を切ったわけだが、
1話を見る限り、まだ踏ん切りがついていないようだ。
こうした泉水子の今後は前途多難を暗示するかのように
道や川の曲線は曲がりくねっているようにも見えた。
それだけ、変化というのは大変なものである。

一方でもう一人の主人公にも見える相楽深行は
自分で自分の道を切り開くタイプの人間のようだ。
山伏という運命に抗いつつも、彼は変化を恐れないで今後動くのだろう。
その意味でRDGはキャラクターの変化を描く物語であり、
この変化とは何か、泉水子達の運命の困難さを描くために
曲線的なモチーフを徹底して描いているように見えたのである。