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キャッチコピーから作品を考察するのは面白い!~RDG(レッドデータガール)を例に 

はじめに

RDG(レッドデータガール)4話まで視聴。

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4話では鳳城学園に転校した泉水子が様々な学生達と出会い、様々な出来事に遭遇する。
そして出会った学生達は一癖も二癖もある存在のようだ。
みんな特殊な能力を持っているようであり、
まるで泉水子は学園で生き延びるだけでも精一杯のようにも描かれる。

そんな4話は本格的に物語がスタートした形に見えた。
この4話を見て、1話から3話まではイントロダクションであり
4話までのタメであるように感じた。

そして4話を見て本作の

「普通」になりたい少女の願いが未来を変えるー善も悪もない、新たな学園ファンタジー

というキャッチコピーの意図が垣間見えたのが一番の収穫だった。
今回はキャッチコピーから作品の目指すものを考えてみたい。

善悪だけではない世界を、人間を描くRDG

まずRDGは善も悪もないという意味について。

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このキャッチコピーを知ると
それは一見、今回酷い怪我を負った宗田真響が被害者=善であり
加害者である高柳一条が悪ではないのかもしれないと解釈できるのだ。
(視聴者側にどうみえるかはさておいて)

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この善悪については、リカルドとひと悶着あった泉水子と深行を影で見ていた真響が
深行と話すことで「協定成立だね」という言葉でもわかるように
この作品は感情で結ばれた関係より、合理的な側面を重視して人が動いている印象も受ける。
(泉水子はまた別なのだろうが)

そして上を目指したいであろう業の深い高柳一条も含めて
本作は特殊な人間が集まる学園の人間模様を善悪をひとまずおいて描きたいのであろう。
さらにいえば、特殊な学園環境の中で、一際特殊な力を持った泉水子が
「普通」になりたいと願い、行動するのがRDGという作品ではないのだろうか。

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善も悪も、人が生きるのだからあるにはあるのだろうが
それ以上に人、人同士の関係、人の営みや主張、そして戦いを鮮烈に描く。
それは監督である篠原俊哉さんがかつて手がけた「戦う司書」にも通じる部分があると思う。

まとめ

今後の展開はわからないが、泉水子がその秘めたる力を駆使しながらも普通になっていく。
もしくは引っ込み思案や依存症的な側面をどうしていくのか、期待したい。
 
そしてキャッチコピーが作品の中身を紐解く好例である事を
RDGが指し示してくれたのが、有難かった。
キャッチコピーから作品を考えるのは面白い!
 
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RDG レッドデータガール 2話「田舎から都会へ」 

1話で田舎(故郷)を徹底的に描き、2話では都会という異邦を描いた展開。
舞台が一変し、田舎から東京という都会へ移り変わったのが面白かった。

今後は東京がメインになっていくのであろうが、
不可抗力で電車の改札や電車自体を混乱に陥れる
東京という都会は泉水子には冷たかった。

PA的には、田舎と東京が富山と東京の関係に見えてしまう。

1話が泉水子と深行の出会いがメインであるなら
2話はこの二人が動いて物語を紡いでいくという展開であり、
次のフェイズへ進んだように感じた。

特に深行が泉水子の手を取る所は、
サブタイトルにもかかってくるシーンであり、
二人の関係の進展性の予感を感じさせた。

物語には多くの謎が潜んでいる。
でも2話ではわからない部分はありながらも、物語の進行は感じさせたために、
次回以降の展開が面白くなりそうだという、期待感を孕ませたのが良かった。

期待感こそが、アニメの視聴を継続させる。
RDGはどんな物語を紡ぐのだろうか。
 
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RDG レッドデータガール1話で徹底して描かれる曲線モチーフの考察 

はじめに

荻原規子さんのファンタジー小説「RDG レッドデータガール」のアニメが放送開始。

アニメーション制作はP.A.WORKS、キャラクター原案は岸田メルさん、
監督は篠原俊哉さんということで、期待している方も多かったのではないだろうか。

1話は煮え切らない泉水子がどうなるかが今後のポイントのようにも見えた。
また、多くの謎を孕んでいて、その謎が今後の期待へ繋がっていくのだろうと感じた。

さて1話を見たところ、本作はあるモチーフが多用されていることに気づいた。
それは曲線・曲線状(流線的)のモチーフである。
当記事では、この曲線モチーフを通してRDGが何を描くのかについて考えてみたい。

曲線モチーフの例

さて、実際に曲線モチーフを見てみよう。

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まずカーブミラーに映るのは主人公の鈴原泉水子達が乗る車。
この車が描く軌道はカーブ(曲線)である。

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俯瞰してみると、道路はS字形をしている。

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泉水子が住む、熊野古道の風景。これもまた、川がS字形の曲線を描いている。

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教室の扉に立てかけられた「三年教室」。
この「三年教室」と描かれた木片を支える木が曲線を描いている。

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このアングルからだと、A字状に見える橋。橋を支えるものが曲線状になっている。

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バレーの授業中に鈴原泉水子に襲うバレーボールの起動もまた曲線を描く。

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「校長室」。「三年教室」と同様。

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泉水子の頭についているコードも曲線的である。

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先ほど出た川と違うがこれもまた曲線を描く。

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幼少時代の相楽深行と鈴原泉水子。
深行が泉水子に投げるボールの軌道もまた曲線である。

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こちらはEDのワンシーンなのだが、
扇子が曲線状に動く描写が多用されている。

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そしてOPタイトルのロゴをみても、
特にRの字が曲線的に誇張して書かれているのがわかる。

以上のように1話の時点で徹底して、曲線状のもの、
もしくは曲線状の軌道を描いてきたのがわかる。

終わりに~曲線モチーフを通して描きたいもの

こうした曲線・曲線状のモチーフがどこに掛かるのかといえば

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泉水子の切った髪(変化したいという象徴の表れであり、曲線状)に掛かってくるのである。

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泉水子は引っ込み思案な自分を何とか変化をしたい為に髪を切ったわけだが、
1話を見る限り、まだ踏ん切りがついていないようだ。

こうした泉水子の今後は前途多難を暗示するかのように
道や川の曲線は曲がりくねっているようにも見えた。
それだけ、変化というのは大変なものである。
 
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一方でもう一人の主人公にも見える相楽深行は
自分で自分の道を切り開くタイプの人間のようだ。
山伏という運命に抗いつつも、彼は変化を恐れないで今後動くのだろう。

その意味でRDGはキャラクターの変化を描く物語であり、
この変化とは何か、泉水子達の運命の困難さを描くために
曲線的なモチーフを徹底して描いているように見えたのである。
 
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