はじめに
「はたらく魔王さま!」が面白い。この作品は貞夫、恵美ともに庶民的なしみったれた生活が描かれているが、
こうした生活感溢れる作品が私は好きだ。
他には「天体戦士サンレッド」も生活感溢れて好きだ。
※ちなみに両作品ともに、
特撮ヒーローと悪役、勇者と魔王というように
両者の関係自体をパロディものである点では共通している。
では「はたらく魔王様!」の生活感を支えているものは何か。
それは、画面の所々に出てくる二つのディテールである。
生活感を支えるディテール~現実にあるものを拝借する
まず一つ目は、現実のものを拝借して生まれるディテールである。
アニメでは、現実にあるものの名前を変えた店名・商品名・番組名が登場する。
本作でいえば、貞夫がバイトしているマグロナルドが該当する。
そんなこの作品は、お店を含めて現実にあるものを文字った描写が多い。

マツモトキヨシ→マツモトショウタ

docomo→docodemo

突撃!隣の晩ごはん→爆撃!隣の夕ゴハン

月間サンデーGX→月間ヨンデーFF
こうした現実に生きる中でよく見かけるものが、本作では多く登場することで
視聴者に自然と親近感を与えてくれるのだ。
貧乏のディテール、そしてリアリティ
二つ目は貧乏のディテール。
次に、恵美、貞夫の両方の食べているものを取り上げる。

恵美:ご飯、唐揚げ、フライ
※ここで勇者が、上の爆撃~の番組を見ていて、
勇者の食事と番組で紹介される家の食事が対比されている。

貞夫:ご飯、こんにゃく、キュウリ
さびしい、どちらも食事としては寂しいものを感じる。
貞夫側には食費を切り詰めて、食事を作っているように見えるし、
恵美側は、安くてカロリーの高いものを選んでいるようにも見える。
ただこうしたわびしい食事シーン、貧乏のディテールがあるからこそ、
恵美が財布を落として何にもできずに貞夫の家で
1枚の毛布に包まり寝る描写とかが、積み重ねとなって生きるのだ。
まとめ
人がリアリティを感じやすいのは、強さ・凄さ・豪華さよりも
はたらく魔王様!のような、貧乏臭さや弱さであると思う。
そしてキャラクターの貧乏臭い描写が
現実にあるものの名前を変えた店や番組名などが出てくる世界の中に溶け込んで
正確な意味での現実ではないが、親近感を感じさせる現実に近い世界観を上手く表現している。
はたらく魔王様!とはそういう世界なのだ。
今後もこうした貧乏臭いことで親近感を感じさせる描写があるかわからないが、
はたらく魔王様!という作品はこうしたディテールによって支えられていると感じた。

何より、ストーカー気質もある恵美が可愛い。この辺りのキャラの怖さは

細田直人さん的な意味で、我妻由乃に繋がる部分があると思う。