革命機ヴァルヴレイヴ10話を視聴。大河内脚本炸裂といったところだろうか。
本作は大きく分けて二つの舞台がある。
一つは戦争や今回の選挙といったように
華やかなでかつ光のあたる舞台で物語が進行する表舞台。
この表舞台で活躍するのは、指南ショーコ。
例えば4話の生徒たちに独立を促した場面などは表舞台の典型例だろう。
もう一つはハルトが吸血鬼化する時や、
もしくは華やかな舞台の裏で起こる
きな臭い展開、暗躍している展開。いわば裏舞台。
この裏舞台にいるのが、エルエルフであり、時縞ハルトだ。
そして光があれば闇があるというように、二つの舞台が絡まり合い物語は進行する。
今回は、表舞台のショーコと裏舞台のハルトが
時には重なり、時には割かれる関係性/展開が面白かった。

例えば冒頭のエルエルフと貴生川タクミのやりとりは、後者の裏舞台だ。
華やかな舞台とは裏腹で起きている物語の進行。
裏舞台は暗い場面で起こるケースが多い。

そして今回の表舞台の中心も指南ショーコだった。
生徒会選挙では文化祭実行を提案。
こんな状況下の中というみんなの疑問を払拭させ、生徒をその気にさせる。
彼女が生徒たち(マス)を動かし、物語の表舞台(華やかな舞台)を引っ張る。
表舞台は、表なだけに明るい場所(光が当たる場所)で物語が進行する。

一方でニンゲンヲヤメタ、時縞ハルトは裏舞台の人間だ。
ヴァルヴレイヴという世界を曝くロボットに乗り、
吸血衝動を抑えられないことに悩むこととも戦っている。
そんな表舞台のショーコと裏舞台のハルトの二人が今回結びついたのは、
ハルトがショーコの父親が殺されたかもしれないという報を聞いた時だ。
ハルトは好きなショーコのために何かをしたい。
ショーコもハルトの為に一緒に戦いたい。だから選挙に出る。
二人の想い、表舞台のキャラと裏舞台のキャラが重なっているようにも見えるが、
物語は非情にも二人を別々の場所に誘う。
(※サキが二人の様子を伺っている点も抑えておきたい)


その後、ショーコが生徒会の選挙演説をしている時(表舞台)。
ハルトは吸血衝動からの性衝動?を抑えられずにサキを襲ってしまう(裏舞台)。
そしてサキはハルトを受け入れる。
二つの舞台が再び割かれた瞬間である。
サキもまたハルトと同じように、裏舞台の側に立つキャラクター。
ハルトの負の部分を受け入れられるのはサキなのだ。
「自分のしたいことをしよう」とショーコが言う裏でハルトはしてしまっている。
そしてサキは今までの態度が豹変したかのような顔になる。
(呪いを受け入れたともいえる)


余談だが、今回のサキの表情の変遷は面白い。
ハルトがタカヒに吸血衝動が走った時は足蹴りを入れて、
見下す視線でハルトを見ていたサキ。
しかしサキ自身がハルトの吸血衝動を受け入れる対象になってからは
真正面から受け止める。悟ったかのような、
全てを受け入れた顔に変わる。
たぶん見下す視線からの表情を描いたのは、ハルトを受け入れた顔を描くための伏線だろう。
ハルトとショーコはお互いが強く意識しているにも関わらず
ヴァルヴレイヴという機体と戦争という状況によって
割かれた関係/状態になってしまっている。(これも呪いなのか)
ハルトはショーコを強く想いながらも、
自身の行動(意図しない行動)が、二人の距離を知らず知らずのうちに遠ざかってしまう。
表舞台(ショーコ)と裏舞台(ハルト)は交わらないのか。
ただヴァルヴレイヴが世界を曝くことが、
表の顔と裏の顔の垣根がなくなることを意味すれば…二人は結ばれるかも。
そんな期待を寄せながら、ハルトとショーコの関係がどうなるかを今後も見ていきたい。
※追記
表舞台と裏舞台については、
戦争/戦場における表舞台と裏舞台
日常における表舞台と裏舞台
の2種類があるのではという事をふと思いついた。
今回の話は日常における表舞台と裏舞台がメインであると思われる。
そして日常と戦争が交差する中、さらに今の時代への強いメッセージも込めて
少年少女のありのままの姿を描こうとするのがヴァルヴレイヴという作品なのだろう。