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帰宅部活動記録6話が面白い5つの理由-ツッコミからボケへの転化 

帰宅部活動記録6話。期待以上の圧倒的面白さを堪能できた名回。
今回はこの面白さについて5点触れてみよう。

① 外に出ると面白い帰宅部

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まずこれ。全てが説明されている画なのだが、
絵的にもっているのか、もっていないのかもわからない上に
これだけ取り出すと世界観がまるで掴めない感じが素晴らしい。
それを女子高生の日常というお題目で押し通すのも見事。

個人的には、帰宅部活動記録は部屋で会話しているよりも
4話の野球や今回の缶蹴りなど、部屋外で遊んでいたほうが面白いと感じる。
これは例えばあるバラエティ番組が部屋内でやっていた時は面白くなかったが、
ロケをやり始めたら面白くなったというパターンとよく似ている気がする。

② あざらしのスベリ芸が面白い

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「空き缶だけにノーカン」と言って、壮絶にスベったあざらし。
あざらしにスベリ芸を使ってくるところがニクい。
南極に生息するあざらしだけに、場をクールにしてくれた。

③ アニメにおけるツッコミのあり方の発見-違和感によるツッコミ=ボケ役機能

ここからが本題。また何より良かったのが、アニメ大好き残念な玄武。

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この「大好き」にだけルビをふっているネタもまぁまぁ面白かった。
むしろ、残念や玄武にもルビをふっていいような気もするが。
そしてこの玄武のツッコミで気づく。このツッコミ力はやばいと。

この玄武というキャラのツッコミ具合が最高だった。
むしろ、慣れていないツッコミが違和感を醸し出していて面白かった。

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※玄武のツッコミシーンは玄武を背から映したナナメな構図が多い。これがノーマッド。

そう、この玄武のツッコミを聞く限り、お世辞にも上手くは感じない。
だが、このツッコミが慣れていない玄武の存在によってある事がわかった。
それは、ツッコミ慣れていない人をわざわざ選んで演技をさせているのではないかという点

【アニメにおけるツッコミの難しさ-帰宅部活動記録4話より】

以前、上記の題で記事を書いたが、記事の趣旨としては
主人公の安藤夏希のツッコミは役者もツッコミ慣れしていない面もあり
ツッコミ・ツッコミ役として弱いのではないかという指摘をした。

そして夏希以外のツッコミ役として玄武が登場し、違和感ありありの演技を見ながら、
この作品は上手いツッコミよりも、慣れていなくても違和感や存在感あるツッコミを
選んだのであろうと個人的には思った。
これは、新人声優を使っていくという状況によって生み出された面もあるだろう。

この玄武の違和感あるツッコミを視聴者がまたツッコミを入れるという構図が生まれ
玄武のツッコミが、実質的にはボケに転化している
とも捉えられるだろう。
そして夏希の時点で、この「ツッコミ=実はボケ役」を含んでの起用だったのかもしれない。

今回の玄武の登場で、夏希も玄武も違和感あることをわざと押していくということが
両者を比較しながらわかってきたことだった。

アニメにおいてツッコミを表現する/的確にツッコミを入れるのは難しいと思っているが
こういうやり方で困難を突破していくのは、一つの手段としてアリだなぁと大変感心した。

④ はだける意味で少女革命ウテナを彷彿

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あの金髪の残忍な白虎の、タンクトップがはだけていたのだが、

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これは上にもあるように少女革命ウテナを彷彿とさせる。
男が意味なく脱ぎ始めるアニメは名作の傾向にある。

⑤ 視聴者プレゼントの当選数もニクい

最後にこのアニメらしく、視聴者へのプレゼントの当選数もエッジが効いている。

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プレゼントは「原作コミックス3巻セット」「サイン入り台本」「サイン入り番宣ポスター」
なのだが、この当選数が13なのが絶妙すぎる。
5や10といったキリの良い数字ではなく、素数である13。大プレゼントといいながらも13。
この13という数字をチョイスするところにこの作品のセンスの良さを感じさせる。

終わりに

徐々に個人的には面白くなってきている帰宅部活動記録。
そして今回6話は、ツッコミという部分ではかなり凄いものを見せてくれた感じだった。
アニメが始まるまで全く知らなかったが、面白い作品があるのだなぁと思い知った。
シリーズ構成・脚本:雑破業さんの力おそるべし。
 
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[ 2013/08/16 11:40 ] 帰宅部活動記録 | TB(4) | CM(0)

アニメにおけるツッコミの難しさ-帰宅部活動記録4話より 

「帰宅部活動記録」4話を見る。
ゆるい感じと、メタなネタが飛び交うのが面白い作品だ。
今回はAパートの野球がとても面白かった。
今期の中でも、とても楽しみになりつつある作品になっている。

さてこのアニメを見ていて思うのは、アニメにおけるツッコミの難しさだ。

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主人公であり本作のツッコミ役の安藤夏希のツッコミは
どうしてもツッコミ役として弱いと感じてしまう。
ボケが面白いので、相対的にツッコミが弱く感じられてしまう。
突っ込みの内容自体は悪くはないが、なにかしっくりこない。

それは安藤夏希はツッコミ役ではあるが、
キャラクター(もしくは演者)がツッコミ役としての技術を積んでいるかは
別にあるところに理由があるのかもしれない。

例えば、漫才におけるボケとツッコミを例にしてみたい。
ボケは発想/アイディアが面白ければ成立するが、
ツッコミは演者の努力で成り立つものである。

ツッコミの第一人者であるダウンタウンの浜田の
若かかりし時代のツッコミについて、以下のような記述がある。

中田カウス・ボタン、西川のりお・上方よしおなど「つっこみがうまい」と評判の先輩の舞台を、浜田は袖から何度も見た。役割分担ができてすぐは、「つっこみが弱い」と評されることもあったが、浜田はやがて松本のボケを殺さず、しかも対抗できるような変幻自在のつっこみを身につけていく。
「ダウンタウンの理由 著:伊藤愛子 1997年 集英社」




ダウンタウンの浜田が若手の頃は、
浜田と松本のボケとツッコミの役割分担ができていなかったようだ。
そしてステップアップの為にボケとツッコミの役割分担が明確化させたが、
その当初、浜田はツッコミが弱いと周りから言われていたようだ。
その克服の為に、地道に中田ボタンなどを参考にして今のツッコミ術を取得した。
ツッコミが日々の積み重ねによる努力で築き上げられるものがわかる。

つまりキャラクターに浜田のようなツッコミの訓練がなされているかどうか。
たぶん安藤夏希は演者も含めそういうキャラではない。

キャラクター(もしくは演者)にお笑い芸人のような
日々の積み重ねにより取得するツッコミの技術を
求めること自体はおかしいと言われればそれまでだが、
ツッコミ力が弱ければ、ボケが生かしきれない側面は必ず出てくる。

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一方で、こうした絵による解説付きツッコミがあることで、
説明/解説としてのツッコミは機能していて、アニメの強みでもある。
こうした画が、ツッコミの役割を上手くフォローしている。

ボケが面白いので、ツッコミ不在のままで進めてもいいのではないかとも思ってしまうが、
ツッコミ不在だと、場が収拾つかなくなり面白くなくなる可能性もあるので必要なのだろう。
さらにはツッコミを入れられる事自体が主人公:安藤夏希の特権なのかしれない。
 
つまり帰宅部活動記録はこうしたボケ先行の作風でもあるのだろうと個人的には感じた。
もしくは場数を踏んで、安藤夏希のツッコミが成長するのを見てみたい。
 
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[ 2013/08/03 20:53 ] 帰宅部活動記録 | TB(6) | CM(1)