空の境界 第1部 「俯瞰風景」
原作:奈須きのこ 監督:あおきえい 脚本:平松正樹
作画監督:須藤友徳・高橋タクロヲ 美術監督:池信孝 音楽:梶浦由紀
奈須きのこと竹内崇のTYPE-MOONが送るプロトタイプ月姫とも言われ
映像化が困難とされた「空の境界」を全7章立て分けて映画化。
原作小説は既読済です。ちなみに原作は多大に猟奇的な描写が多いので
忠実に再現したら確実にTVでは規制が関るでしょう。
OVAでも展開できたかもしれませんがそれ以上に
全七章・劇場版・単館上映・レイトショーのみという話題を引く
ビジネス展開のセンスの良さにTYPE-MOONの強みがあります。
全7章立て公開は上下巻計50万以上の部数による原作が大きな強みでしょうね。
こうした試みが出来るのも、アニメのビジネス環境はかつてよりも面白くなってる証拠。
-本当に簡単なあらすじ-
直死の魔眼を持つ主人公の両儀式と式といつも一緒にいる黒桐幹也。
その二人の住む町で少女たちの飛び降り自殺が相次いだ。
この事件に黒桐幹也の雇い主の魔術師の蒼崎燈子が乗り出す。
燈子は仕事で組んでいると思われる式へ現場のビルに向かわせる。
式がそこで見たものは。浮遊した少女の姿だった。
両儀式は坂本真綾 黒桐幹也は鈴村健一ですね。デス種のルナマリアとシンです。
二人の絡みを聞いても、あの二人を連想してしまいます。
本編の感想ですが、安っぽくない映像クオリティがまず良かった。
原作の耽美的で衒学的な世界観を忠実に描写している。
原作を貶めずに高貴なテイストに仕立て上げている。
背景を徹底的に作り込み、かっこいいレイアウトで決めていく。
キャラの芝居も最低限に抑える手法は押井守作品に通じるものがあった。
特に背景は色彩的な部分(基本的に明度が低い色彩)も含めて押井らしさを感じる。
押井も衒学的な世界観持ってるから相性いいのですけれどね。
制作側もどこまで押井を意識したかはわからないけど、僕にはそう感じた。
背景で物語れる(見てる側が意味を類推する)作品は、それだけでかっこいい。
また唯一の1部のアクションシーンではかっこよく見せ場をちゃんと作る。
だらだらアクションをやる作品も多い中、短くピシッと決めてたのは良かった。
文句をつける所が無いぐらいに、出来がいいです。
原作に対して過不足無い内容に纏めている脚本が特にすばらしい。
原作知らない人でも見てほしいなぁと思った。
ufotableは凄く頑張ったと思う。ドッコイダーの時からufotableのファンでしたけど、
クオリティで評判になる割にはDVDがあんまし売れないという境遇が続いてたが
空の境界で一躍有名会社になった気がします。