fc2ブログ

(フル・フロンタル)機動戦士ガンダムUC 2話「赤い彗星」(感想)  

●感想●

ガンダムユニコーン2話です。ほぼ8ヶ月ぶりですかね。
このクオリティを堪能できるのは素直に嬉しいです。

サンライズは最近ガンダムに制作リソースを費やしてくれます。
例えて言うなら、ユニコーンガンダムという住宅を一軒建てるのに
素晴らしい技量を持った大工さん達(アニメーター)を集めて
全力で家を建てるという印象を持っています。

必ずしも過去のガンダム作品は制作に恵まれないものもありました。
しかし最近は見る側の要求も厳しくなっているのを反映してか
「ガンダム00」「ガンダムUC」とハイクオリティな映像を提供しています。
特に「ガンダムUC」は宇宙世紀を舞台とし、安彦良和御大も関わるなど
内容的も含めて高年齢層を対象、つまりかつて1stガンダム直撃世代という
非常に目の肥えた層に対しても発信されている作品だと思います。
そしてこの作品は1話の評価を見る限りでは、
かつてのファンの支持をちゃんと得られていると思うのです。


●物語について●

連邦とネオ・ジオンの「ラプラスの箱」をめぐる攻防です。
純粋なバナージが連邦にもネオ・ジオンにも接触してこの状況に巻き込まれていきます。
なにせ「ラプラスの箱」の「鍵」といわれるユニコーンガンダムに唯一乗れる人間ですから
両陣営にとって重要人物になってしまったのでしょう。

そんな彼はネオ・ジオンに連衡された先での夕食で「正しい戦争は無い」という
正しい戦争論を子供に主張していましたが、一方で自分が関わった戦いに関しては
その実感が湧かないでいます。マリーダがこの事を諭してくれますが、
まだバナージには人を殺した実感が湧かないようでした。
ネオ・ジオンに囚われたバナージはどう動くのでしょうかね。

またヒロインである、ミネバ=オードリーは、自己の境遇ゆえか
上段過ぎる、もしくは少女らしくない物言いはバナージに窘められます。
彼女がバナージに言われた本当にやりたい事とは何でしょう。

個人的なツボにはハサン先生が登場した事ですね。
Zガンダム・ZZガンダムに出演していた彼が未だに現役の軍医である事、
何より生き抜いている事に、ちょっと感動しました。

●戦闘シーン●

今回の見所は序盤・中盤のユニコーンガンダムVSシナンジュの戦闘でしょう。

まずユニコーンガンダムのビーム・マグナム強すぎですね。
また撃った後バナージが「すごい」と言いますが、こうした台詞はガンダムっぽいです。
それにしても掠っただけで、撃墜するとは・・・。しかしシナンジュには掠りもしませんね。
ビームの色味が、既存のビームライフルとは全く違う紫色で表現されていますね。
そんなユニコーンに対抗するシナンジュは
3倍のスピードと言われるだけあって、他の機体より確実に速く動いていました!!

そしてベストの見所はシナンジュの蹴りです。
シャアと言えば、蹴りです!! 1stでも逆襲のシャアでも見せてくれた蹴り!!
シャアの再来ともいえるフル・フロンタルもちゃんと蹴りをしてくれました。
これには感動を覚えましたよ。スタッフはよくわかっている!!


●フル・フロンタル●

今回、一番目立っていたのはフル・フロンタルさん。
まずフル・フロンタルという名前は富野由悠季節監督っぽいネーミングセンスです。
より正確に言えば、福井春敏さんが精一杯考えて、
富野っぽいネーミングを考案したのでしょう。
他にもバナージ・リンクスもですが、名付けには相当頑張った事を窺わさせます。

(余談ですが、私は富野由悠季監督の音を重視してイメージさせるネーミングセンスは
日本のサブカルチャーのネーミングにパラダイム・シフトを起こしたと思っています。)

赤い彗星の再来と言われるフル・フロンタル。
彼は本当にシャアなのでしょうか?彼は自分の事を「器」と定義しました。
つまりネオ・ジオンの将兵が望めばシャアにでもなるという決意です。
機体操縦の技量、ルックス・声、その怪しい言動を含めてシャアっぽく見せています。
ラスボスであろう彼は今後の展開は大いに注目です。

私は池田秀一さんの声が大好きです。
「当たらなければどうということはない」って聞けただけでも幸せ!!
正直、本作のようなシャア的演技を聞けるのも貴重になっていると感じています。
それは郷里大輔さん・鈴置洋孝さん、曽我部和恭さん・井上遥さん等々
ガンダム作品に出演されていた声優さんは次々にお亡くなりになられているからです。
そう考えると、池田さんの声が聞けるだけでも、私はその幸せを噛み締め
耳に刻み付けなければならないと感じてしまいます。



今回も作画監督が20人と、大総力体制でした。
原画も1原・2原含めて超豪華面子でした。

このクオリティはスゴイ。コクピットの描き方は極まっているし・・・
ユニコーンは強そうだし・・・。3話も期待大です。

 
このエントリーをはてなブックマークに追加 follow us in feedly
[ 2010/11/02 22:19 ] 機動戦士ガンダムUC | TB(12) | CM(3)

機動戦士ガンダムUC 第1話「ユニコーンの日」【感想】 

福井春敏原作ガンダム小説の映像化。

個人的な想いから言わせて頂くと、映像化してほしかったので嬉しい。
クオリティはどんだけ金と時間を使ったんだというぐらいの代物であり
おそらく今のサンライズが120%できるだけの布陣を整えて制作した事が
映像でもわかったし、スタッフロールでもわかった。

1話の感想は小見出しをつけて、小見出しに沿った感想を以下に書いていきます。

1 メカデザイナー カトキハジメ
主役機ユニコーンガンダムのデザインはカトキハジメ。
よくよく考えるとカトキハジメデザインの主役ガンダムの映像作品って
「Vガンダム」まで遡るのか。ふむふむ。「エンドレスワルツ」もあるけど、
主役機の後継機的扱いだから、個人的には当てはまらない。

カトキハジメデザインってイラストで見るともの凄くかっこいい。
ただ線が多かったり、なによりあのフォルムをアニメーターが真似しづらい側面があった。
特にVガンダムはカトキデザインにアニメーターが大苦戦していた
だからアニメのデザインに適さない、動かしづらい側面があったけど、
ユニコーンは過去にネックなっていた事を解消できていたような気がした。
やはり動けば普通にカッコいいなぁ。カトキメカ。

2 福井春敏と富野由悠季
福井春敏は意訳すれば「ガンダム信者で無い。富野信者だ」という発言をしている。
その事から富野の後継者的な見られ方をされる時もあるが、
本質的に作家性が両者は根本的に違うので、後継者云々は当てはまらない。
福井氏はポリティカルフィクションを持ち味とした作風だけど、
富野のような人間の業を徹底的に描けるわけではないので。


ただ1話を見る限り、どうも富野っぽい台詞回しが散見したり
キャラの造詣もそれっぽい傾向が強い。
勿論、ガンダム原作、しかも宇宙世紀を舞台にしているので、
原作富野の影響下での作劇をある程度考慮しなくてはいけないだろう。

3 戦闘シーン
カトキハジメの所とダブるけど、よくあんな線が多いメカ(クシャトリアだったっけ)
をここまで動かせたと正直感嘆。上手いアニメーターが大量投入されてたとはいえ見事です。

ただ1対1の剣劇の間合いのような状況が続き、ガンダムの戦闘としては
もう少し工夫がほしかったのかも(1対1の状況は意図的の作劇だから仕方ない部分もある)
また戦闘と日常の映像のテンポが一緒であり、いざ戦闘に入ったぞという緩急が乏しく、
思ったほどには戦闘に臨場感や高揚感が生み出せて無かったのが残念。

個人的には監督の古橋一浩がサンライズのロボットアニメ演出経験が無い所を危惧していたが
そこが如実に出てしまった印象を受ける。(補足:古橋監督は人体アクションは上手い)

4 ストーリー
特に可も無く不可も無い印象。
宇宙世紀的な雰囲気はちゃんと出せているとは思う。

ロボットアニメの肝は「主人公はいかに不自然な展開が無いようにロボットに乗り込むか」
という所に掛かっているが、そこはクリアできていたとは思う。
生き別れの父から意志を託され、死別してガンダムに搭乗するのは悪くない。
まぁ親から託されるのは、ロボットアニメの基本ですな。

気になったのが、キャラ同士の関係が薄味に見えた点。それは作画とも関係するが
キャラの表情付け(感情の吐露)が乏しく、俳優でいえば演技が固いといった所か。
絡みも質が弱く、それが総じて薄味な印象を与えてしまったと思う。
また大筋の設定、ビスト財団やラプラスの箱といった所だけで話が進行してしまい
ダイジェスト的な話の進め方になったのは致し方ないといった所か。

5 音楽
中盤まで、厳かな曲が多い印象を受け、盛り上がらないなぁとか思っていたが、
後半になるにつれて、これはこれで良い事がわかった。
むしろこの格式高い音楽、戦闘シーンでもその高揚感を抑え込むかのような曲には今後も期待。

6 スタッフロール
作画監督22人というのには驚いた。時間にして1人あたり3分弱の配分なのか。
千羽由利子 中田栄治 さとうけいいち 羽山賢二 小曽根正美 柴田敦
鈴木勤 濱田邦彦 伊藤伸高 原田大基 大塚健 他諸々ってスゴイ面子。

原画陣も津野田勝敏 瀬尾康博 土器手司 中谷誠一 仲盛文 重田智
富岡隆司 戸部敦夫 中沢勇一 以下他にも挙げたいんだけれど
とにかく一番言いたいのは往年のガンダム作品の原画を描いてた人が
集まってたのが、なんか感慨深かったです。
しかしその中に重田敦司がいなかったのは物凄く残念だった。

7 まとめ
UCへの期待って「宇宙世紀新作への期待」っていう部分は大きいのかも。
アニメでいえば「08小隊」以来かも。IGLOOもあるけど、手書きアニメでは無いし。
良くも悪くも期待通りで、今後の映像にも期待したい。
古橋監督がメカアクションに慣れてくると、より面白くなりそうだ。
 
このエントリーをはてなブックマークに追加 follow us in feedly
[ 2010/03/14 10:43 ] 機動戦士ガンダムUC | TB(5) | CM(0)