福井春敏原作ガンダム小説の映像化。
個人的な想いから言わせて頂くと、映像化してほしかったので嬉しい。クオリティはどんだけ金と時間を使ったんだというぐらいの代物であり
おそらく今のサンライズが120%できるだけの布陣を整えて制作した事が
映像でもわかったし、スタッフロールでもわかった。
1話の感想は小見出しをつけて、小見出しに沿った感想を以下に書いていきます。
1 メカデザイナー カトキハジメ主役機ユニコーンガンダムのデザインはカトキハジメ。
よくよく考えるとカトキハジメデザインの主役ガンダムの映像作品って
「Vガンダム」まで遡るのか。ふむふむ。「エンドレスワルツ」もあるけど、
主役機の後継機的扱いだから、個人的には当てはまらない。
カトキハジメデザインってイラストで見るともの凄くかっこいい。
ただ線が多かったり、なによりあのフォルムをアニメーターが真似しづらい側面があった。
特にVガンダムはカトキデザインにアニメーターが大苦戦していた
だからアニメのデザインに適さない、動かしづらい側面があったけど、
ユニコーンは過去にネックなっていた事を解消できていたような気がした。
やはり動けば普通にカッコいいなぁ。カトキメカ。
2 福井春敏と富野由悠季福井春敏は意訳すれば「ガンダム信者で無い。富野信者だ」という発言をしている。
その事から富野の後継者的な見られ方をされる時もあるが、
本質的に作家性が両者は根本的に違うので、後継者云々は当てはまらない。
福井氏はポリティカルフィクションを持ち味とした作風だけど、
富野のような人間の業を徹底的に描けるわけではないので。ただ1話を見る限り、どうも富野っぽい台詞回しが散見したり
キャラの造詣もそれっぽい傾向が強い。
勿論、ガンダム原作、しかも宇宙世紀を舞台にしているので、
原作富野の影響下での作劇をある程度考慮しなくてはいけないだろう。
3 戦闘シーンカトキハジメの所とダブるけど、よくあんな線が多いメカ(クシャトリアだったっけ)
をここまで動かせたと正直感嘆。上手いアニメーターが大量投入されてたとはいえ見事です。
ただ1対1の剣劇の間合いのような状況が続き、ガンダムの戦闘としては
もう少し工夫がほしかったのかも(1対1の状況は意図的の作劇だから仕方ない部分もある)
また戦闘と日常の映像のテンポが一緒であり、いざ戦闘に入ったぞという緩急が乏しく、
思ったほどには戦闘に臨場感や高揚感が生み出せて無かったのが残念。
個人的には監督の古橋一浩がサンライズのロボットアニメ演出経験が無い所を危惧していたが
そこが如実に出てしまった印象を受ける。(補足:古橋監督は人体アクションは上手い)
4 ストーリー特に可も無く不可も無い印象。
宇宙世紀的な雰囲気はちゃんと出せているとは思う。
ロボットアニメの肝は
「主人公はいかに不自然な展開が無いようにロボットに乗り込むか」という所に掛かっているが、そこはクリアできていたとは思う。
生き別れの父から意志を託され、死別してガンダムに搭乗するのは悪くない。
まぁ親から託されるのは、ロボットアニメの基本ですな。
気になったのが、キャラ同士の関係が薄味に見えた点。それは作画とも関係するが
キャラの表情付け(感情の吐露)が乏しく、俳優でいえば演技が固いといった所か。
絡みも質が弱く、それが総じて薄味な印象を与えてしまったと思う。
また大筋の設定、ビスト財団やラプラスの箱といった所だけで話が進行してしまい
ダイジェスト的な話の進め方になったのは致し方ないといった所か。
5 音楽中盤まで、厳かな曲が多い印象を受け、盛り上がらないなぁとか思っていたが、
後半になるにつれて、これはこれで良い事がわかった。
むしろこの格式高い音楽、戦闘シーンでもその高揚感を抑え込むかのような曲には今後も期待。
6 スタッフロール作画監督22人というのには驚いた。時間にして1人あたり3分弱の配分なのか。
千羽由利子 中田栄治 さとうけいいち 羽山賢二 小曽根正美 柴田敦
鈴木勤 濱田邦彦 伊藤伸高 原田大基 大塚健 他諸々ってスゴイ面子。
原画陣も津野田勝敏 瀬尾康博 土器手司 中谷誠一 仲盛文 重田智
富岡隆司 戸部敦夫 中沢勇一 以下他にも挙げたいんだけれど
とにかく一番言いたいのは往年のガンダム作品の原画を描いてた人が
集まってたのが、なんか感慨深かったです。
しかしその中に重田敦司がいなかったのは物凄く残念だった。
7 まとめUCへの期待って「宇宙世紀新作への期待」っていう部分は大きいのかも。
アニメでいえば「08小隊」以来かも。IGLOOもあるけど、手書きアニメでは無いし。
良くも悪くも期待通りで、今後の映像にも期待したい。
古橋監督がメカアクションに慣れてくると、より面白くなりそうだ。