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ダーリン・イン・ザ・フランキス 22話の演出を語る-万物流転・暗から明へと生きる 

オトナ達はいなくなり自らの手で大地と生きようとするコドモ達。

もぬけの殻の状態のゼロツーと手一杯のヒロ。
ココロの妊娠、作物は育たず、指導者もいない。
全てがうまくいかない中で、少しの手がかりと
前に進もうとする人の心を元に希望を見出す話だ。

誰も、同じ川に二度入ることは出来ない。
今回この言葉が使われていた。
万物流転、全ては変化するという考えだ。

オトナ達がいた世界からいない世界へ。
いない世界からその先の一歩踏み出した世界へ。
13部隊は地上から宇宙へと生きるための戦いに赴く。
全ては変化するために、留まることを許されない。

生きるために戦うこと、それは変化することを恐れずに上に向かうこと。
そんな話だったと思う。


さて今回。とにかく画面から滲み出る空気が重い、辛い、物悲しい。
まずそれはキャラが辛そうな表情をしているから。

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登場する殆どのキャラが身体的・精神的に追い詰められ虚ろな表情を見せる。
各シーンごとで万遍なく見せてくる容赦のなさ。
さらにその虚ろさを取り払う術が無い点を突きつけられ、
より視聴者に暗々たる印象を植え付ける。
例①ナインズはメンテナンスできないので、そのままの状態でいるしかない。
例②作物が育たないが、対抗するすべがない。

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キャラクターの悲しみを代弁するかのように降る雨。
そして明度を抑えられた暗いトーンの画面の連続。
キャラ表情と画面と物語が三位一体となって
Bパート中盤まで物語は辛い展開の連続で構成される。


転機はミストルティンの土なら栽培できる可能性が期待できるところから。
ナナさんは自分の足で立ち上がる。
ヒロは心がストレリチア・アパスに残されたゼロツーを迎えに火星へ行くことを決心。

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独善的なヒロ(いつものことだけど)に
ゴローの怒りが爆発する姿を見て感情が高鳴るイチゴ。
真正面から抑えているところと、表情付けが素晴らしい。グッとくる。

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イチゴの涙は流星へと繋がる。ロマン溢れる演出。
この流星もゼロツーの心があるアパスがVIRMと戦って
生まれた光なのかもしれないと考えるとグッとくる。

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旅立ちの朝。
一人で宇宙へ向かおうとするヒロと一緒に行こうとするみんな。
空は雨から晴れにて光り輝き、今までのどんよりムードを払拭させる。
画面は上方へPANされ開放的に生きる希望を孕みながら今回を締めくくる。
ゼロツーを迎えに行くこと、VIRMを倒すことが生きることになると信じて。

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ED曲が流れる中、水の波紋を映すカットがちょっとある。
「誰も、同じ川に二度入ることは出来ない。」とゴローのモノローグを挟みながら。

オトナ達の言葉を信じて考えなかったコドモ達が、
様々な経験を積み重ね生きることを掴んできた。
そして絶望下の状況の中でも希望を見出し
変化を恐れずに前に向かうことを選択した。

ダリフラとはそういう生き方を伝えたかった作品なのかもしれない。
 
絵コンテ・演出は高雄統子さん(3回目)。
雨も暗いトーンも重い空気とその先の光も含めて高雄さんがにじみ出た演出だった。
 
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ダーリン・イン・ザ・フランキス 21話を語る-ヒロとゼロツーの繋がりの物語 

叫竜の姫とヒロが囚われの身となった所を
13部隊が殿を引き受けて、ゼロツーが助ける展開。
ゼロツーとヒロの姿に繋がる者の強さを感じ取った
叫竜の姫がヒロ達に力を貸すことで奇跡が起きる。

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ダリフラ。
序盤は部隊の青春群像劇をメインに見せながら、
中盤以降(特に13話以降)は、
ヒロ・ゼロツー、ヒロ・ゼロツー、ヒロ・ゼロツーで押し切る展開。
二人に待ち受ける困難を乗り越えて「好き」を遂げる物語だとわかる。
(個人的にはイチゴが好きだったので、中盤以降は物語の牽引力が
弱くなってしまったのは惜しいが、仕方がない役回りでもある)

肉体という繋がる術を持たず、肉体を捨てよというVIRM。
そのVIRMと戦うために繋がることを忘れた叫竜達。
叫竜のシステム(フランクス)を使い、繋がることを恐れずに生き抜いた13部隊。
今回はゼロツーとヒロの繋がりがストレリチアアパスとなってVIRMを退けた。
肉体を捨てよのVIRMか、肉体(そして心)を通した繋がりのヒロとゼロツーか。
その辺りをどう描いていくかに期待している。
さしあたって最後のゼロツーの異変が気になる。


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さしあたって今回好きなのは13部隊の結束力・友情。
絵作りから、13部隊が戦いと生活を通して関係を育んできたのがわかる。
特にイチゴがミクとココロの肩に寄りかかる自然な密着感が、
「ああこいつら友情あるんだな」という感じがして良い。

こういう絵は本来キャラクター側で描かれるのだが、
フランクスという機体で描かれるのがダリフラの新鮮なところ。
メカニックでもあり搭乗者のキャラクターを反映したキャラにもなれる。

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ストレリチア・アパスのアオリ。
ただ単にかっこいいから載せてみた。
(このデザインをアオって描くのは大変だなぁと)

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スパロボでいう気力150のヒロ。
瞳のハイライトも回転しているのも良いが、
この純粋すぎる表情付けが素晴らしい。
新しい力を得たんだなぁという気概に満ち溢れている。

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ヒロインでもあり、今回ヒロを救出したことで
ヒーローでもある事を証明したゼロツー。
ゼロツーメインで押してくるので、自然に好きなキャラになってしまった。
そういう感情の中で、こういう事切れた表情をされると悲しくなる。
ヒロの奇跡でゼロツーの復活はなるか…
それともOPでの描写のように別れの前兆となるか。
あの絵本の最後の結末は!
  
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ダーリン・イン・ザ・フランキス 20話の演出を語る-血の先にあるのは 

本作品の設定のほとんどが明らかにされた今回。

マグマ燃料と叫竜、及び叫竜とフランクスの関係。
叫竜の姫の目的。宇宙からの侵略者VIRM。

人間は男と女で新しい命を作り繋げ
叫竜人は男と女をつがいにして叫竜となる。
種こそ違えど似た者同士だった。


そして戦いは、叫竜と人類というフェイズから
叫竜とVIRMと人類というフェイズに移行した。

地上での戦闘がメインだった本作が
地上と宇宙側で戦闘を始めた。

VIRM及び叫竜の姫側で投入される
物量と破壊のレベルの規模が今までと違っていた。
宇宙からVIRMの艦隊及び兵器群の圧倒的物量。
姫のビームは宇宙に放たれ、VIRM斥候艦隊を一撃で葬り去るほどに見えた。
これまでのフランクスと叫竜の戦いが些細に見えるほどに。
VIRMという侵略者の登場と、この今までの描写の規模の落差が
いわゆる超展開と感じさせる所以でもある。

今後はVIRMをヒロとゼロツーでどう立ち向かうかが焦点になりそうだが…


さて20話の演出で気になったところ。

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9'εの挑発に言い返すゼロツーを囲む13部隊。
この1カットでゼロツーと他のみんなの距離感がないのが伝わってくるのが良い。

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ヒロとゼロツーのキスは口元を撮さないことで
二人の関係のプラトニック性を保っていたかのように思うが、
叫竜の姫のヒロとのキスは、姫がヒロを奪うような感じとして描かれ、
二つの描写が対照的になっていると感じた。


画面の各勢力の配置の規則性についてはオーソドックス。

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左側に敵、右側に味方という構図。
新勢力のVIRMが登場し左に置くことで、
人間側と同じく叫竜の姫が右側に配置され、
姫が自然と味方のような映像印象になっていく。


今回の絵コンテは長井龍雪さん(14話に続いて、2回目)。
長井さんらしさを感じたのは最後の
口元を拭いて→顔のアップからの→サブタイトル
という流れのカット割。

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他に長井さんつながりで言うと

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血の跡で描かれた線の後にゼロツーがいるのは、
血の流れた先に倒れたオルガの死ぬシーンを思い出した。
(オルガ死ぬ回のコンテは西澤晋さんと遠藤広隆さんの連名)。
 
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