爽子の視線の先には。
爽子と風早にとって試練の時間は続きます。
このお話はそれぞれ違う認識をしているのが
上手い具合に物語をかき乱して面白いのだと感じました。
それは爽子の凄さに気づけるかどうかって所でもありますし、
爽子と風早の認識のギャップの差でもあります。
感想爽子と吉田のそれぞれの「好きな人」が描かれました。化粧シーン そして吉田の好きな人
私にとって未知の領域、それは吉田と矢野っちの化粧シーンです。
吉田は化粧の仕方が上手くいかなかったようです。
それは吉田が自分の良さをわかっていなかったからなのでしょう。
矢野っちのキレ長の目を生かした化粧が良いという方法で吉田を見違えさせます。
キャラの表情や化粧を行った表現が効果的に用いられたショットだと思います。
絵の魅力も出ていますし、アニメは何でも描けてしまう特性を有効利用しています。
何にしても女性は化粧によって美を手に入れる事がわかります。

そんな吉田の化粧は好きだった徹へ想いを届けたかったからなのでしょう。
徹も吉田に対して
「一生疎遠にはならないから」と声をかけてあげます。
恋は成就しませんでしたが、吉田の想いは徹に届いています。恋は勘違い・すれ違い・間違い
前回でもほぼ同じ事を書いたのですが、恋物語は3つの「違い」が物語を進行させます。その3つとは勘違い・すれ違い・間違いです。これら3つの違いが物語の中でキャラクターの中で生じ、相互に絡み合う事で、
キャラ同士の恋が進展しまたは距離が遠のくわけです。
まぁ最近は携帯電話が一般化したので、スレ違いを起こす仕掛けが
ちょっぴり難しくなっていると思います。
今回の最大の違いは、健人が「風早が好きな人を爽子以外」と「勘違い」した点です。先週、風早に好きな人をいるかを聞いた健人ですが
健人はどうやら
「風早が好きなのは爽子ではない」と思ったのでしょうね。
しかしこの事を健人が前提にして、爽子にアドバイスしても爽子は困ります。
これでは健人のやっている事は、風早と爽子の引き離しにかかっているわけですから。

健人にはどう見ても悪気は無い。いま健人が爽子に求めているのは
「クラスで浮かないようにする」「風早から頼らずに独り立ちする」事です。
これらは両方ともに正しい。さらに後者の
「風早に頼らずに~」というのは
二人が今後イーブンイーブンで恋をしていく中で、爽子にとても重要な事です。
言い換えると矢野っちが言う
「爽子と風早が対等にお互い上手く付き合う」上で
最も大事な事でもあったりします。
でも健人はそもそもの前提を「勘違い」しているから
爽子と風早の距離をおかしくするアドバイスになってしまいます。
ここで大事なのは視聴者と健人への認識のギャップです。今まできちんと見ていた視聴者であれば、健人の行動が「勘違い」していると
認識できる点です。一方の健人は自らの行動を「勘違い」と認識していない。
つまり一番上に上げた「勘違い」も含めた3つの「違い」は
「違っている事」を視聴者にきちんと気付かせないと駄目なのですよね。
その意味では視聴者は爽子と風早がお互い両思いなのは周知しているので
健人が「違っている」事を認識できるのです。
またもう一つ、風早の爽子への接し方は単純な「間違い」なんですよね。爽子が育てた薬草畑の時でも、風早は一言でも言葉をかけえばお互いの距離は縮まります。
でも風早はしなかった。これは「間違い」です。
間違えているから爽子との距離感ができてしまっている現状。
彼は自分の行動が間違っているとは思ってないでしょうが、悩んではいます。
その意味では学食で先生はおもしろおかしく状況説明するなど
心憎いアドバイスを送っています。先生はよくわかっています。
恋に正解も正しい方法も無いです。また最適かつ合理的に行う事が
ベストであるともいえません。時には不条理な事もあるでしょうし
どんなにお互いが頑張っても実らない時もあります。
そして上記の3つの「違い」が起こるのが恋物語の醍醐味でもあります。
その中で本作が大事にしているのはタイトルの「君に届け」という言葉でしょう。
つまり恋の成就に関わらず、いや内容を問わず相手に「想いを伝える事」の大切さ。
この事が本作の一番描きたい事なのでしょうね。演出が上手い
この作品は原作自体もとても面白いですが、
アニメの映像演出もとても上手い。ちょっと紹介していきます。
爽子が風早と「距離が遠くなっていく」と言ったシーン。爽子を左側に配置し、画面真ん中を白く取る、文字通り空白にさせることで
爽子が疎外されている感じを画面で演出する事で
風早と距離感が生じた事を感じさせる演出となっています。
今回、一番上手いと思ったシーン。龍が帽子を直す芝居です。もしこの芝居が無ければこのシーン自体が成立しないでしょう。
龍が帽子を深く被る事で、吉田に対して何を思っているかを色々解釈できる点。これが素晴らしい。吉田を直視したくないのか、吉田の気持ちを想うとか、
この芝居一つで色々な解釈が出来ると思います。
夕陽の照り返しの撮影表現が吉田をちょっと違う女に見せている点も上手い。

これは面白い演出。今までの事を走馬灯で振り返っちゃ駄目だろ爽子という感じです。
シリアスの中にあるコメディは、物語を豊穣にする意味でとても有効的です。
まとめ
物語の最後は修羅場の雰囲気を匂わせて次回に続く。
引きも上手いです!爽子は凄い子なのに自分を卑下しちゃう点が恋を傷害する要素です。
今回も自分がクラスに馴染めている点すらわかっていないようでしたし。
彼女がこの点を上手く克服できるかが風早との恋を成就させる秘訣となります。
一方、風早は爽子によそよそしくしないで、きちんと接しないと駄目です(笑)。
毎回の話ですが、この作品は
原作が面白くかつスタッフも一生懸命だから
アニメも面白いという理想的な循環で作られているのが良いですね。
原作とアニメの理想的な出会いの一つであるといえるでしょうね。
またこの作品をIGが制作したのにも驚きでした。
どちらかといえば「攻殻機動隊」のような硬派な作品をウリにしてきただけに
ここ最近の「東のエデン」や「君に届け」といった少女漫画的路線が
実を結んでいるのも会社としては幅が広がってよいと思いました。
(まぁIGは90年代前半に人気少女漫画「僕の地球を守って」を作っていますが、
まだこの頃は会社のイメージが固まっていない頃でした。)
IGは底力がある会社なので、良い企画があればもっと伸びるとは感じています。
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感想爽子と吉田のそれぞれの「好きな人」が描かれました。化粧シーン そして吉田の好きな人
私にとって未知の領域、それは吉田と矢野っちの化粧シーンです。
吉田は化粧の仕方が上手くいかなかったようです。
それは吉田が自分の良さをわかっていなかったからなのでしょう。
矢野っちのキレ長の目を生かした化粧が良いという方法で吉田を見違えさせます。
キャラの表情や化粧を行った表現が効果的に用いられたショットだと思います。
絵の魅力も出ていますし、アニメは何でも描けてしまう特性を有効利用しています。
何にしても女性は化粧によって美を手に入れる事がわかります。

そんな吉田の化粧は好きだった徹へ想いを届けたかったからなのでしょう。
徹も吉田に対して
「一生疎遠にはならないから」と声をかけてあげます。
恋は成就しませんでしたが、吉田の想いは徹に届いています。恋は勘違い・すれ違い・間違い
前回でもほぼ同じ事を書いたのですが、恋物語は3つの「違い」が物語を進行させます。その3つとは勘違い・すれ違い・間違いです。これら3つの違いが物語の中でキャラクターの中で生じ、相互に絡み合う事で、
キャラ同士の恋が進展しまたは距離が遠のくわけです。
まぁ最近は携帯電話が一般化したので、スレ違いを起こす仕掛けが
ちょっぴり難しくなっていると思います。
今回の最大の違いは、健人が「風早が好きな人を爽子以外」と「勘違い」した点です。先週、風早に好きな人をいるかを聞いた健人ですが
健人はどうやら
「風早が好きなのは爽子ではない」と思ったのでしょうね。
しかしこの事を健人が前提にして、爽子にアドバイスしても爽子は困ります。
これでは健人のやっている事は、風早と爽子の引き離しにかかっているわけですから。

健人にはどう見ても悪気は無い。いま健人が爽子に求めているのは
「クラスで浮かないようにする」「風早から頼らずに独り立ちする」事です。
これらは両方ともに正しい。さらに後者の
「風早に頼らずに~」というのは
二人が今後イーブンイーブンで恋をしていく中で、爽子にとても重要な事です。
言い換えると矢野っちが言う
「爽子と風早が対等にお互い上手く付き合う」上で
最も大事な事でもあったりします。
でも健人はそもそもの前提を「勘違い」しているから
爽子と風早の距離をおかしくするアドバイスになってしまいます。
ここで大事なのは視聴者と健人への認識のギャップです。今まできちんと見ていた視聴者であれば、健人の行動が「勘違い」していると
認識できる点です。一方の健人は自らの行動を「勘違い」と認識していない。
つまり一番上に上げた「勘違い」も含めた3つの「違い」は
「違っている事」を視聴者にきちんと気付かせないと駄目なのですよね。
その意味では視聴者は爽子と風早がお互い両思いなのは周知しているので
健人が「違っている」事を認識できるのです。
またもう一つ、風早の爽子への接し方は単純な「間違い」なんですよね。爽子が育てた薬草畑の時でも、風早は一言でも言葉をかけえばお互いの距離は縮まります。
でも風早はしなかった。これは「間違い」です。
間違えているから爽子との距離感ができてしまっている現状。
彼は自分の行動が間違っているとは思ってないでしょうが、悩んではいます。
その意味では学食で先生はおもしろおかしく状況説明するなど
心憎いアドバイスを送っています。先生はよくわかっています。
恋に正解も正しい方法も無いです。また最適かつ合理的に行う事が
ベストであるともいえません。時には不条理な事もあるでしょうし
どんなにお互いが頑張っても実らない時もあります。
そして上記の3つの「違い」が起こるのが恋物語の醍醐味でもあります。
その中で本作が大事にしているのはタイトルの「君に届け」という言葉でしょう。
つまり恋の成就に関わらず、いや内容を問わず相手に「想いを伝える事」の大切さ。
この事が本作の一番描きたい事なのでしょうね。演出が上手い
この作品は原作自体もとても面白いですが、
アニメの映像演出もとても上手い。ちょっと紹介していきます。
爽子が風早と「距離が遠くなっていく」と言ったシーン。爽子を左側に配置し、画面真ん中を白く取る、文字通り空白にさせることで
爽子が疎外されている感じを画面で演出する事で
風早と距離感が生じた事を感じさせる演出となっています。
今回、一番上手いと思ったシーン。龍が帽子を直す芝居です。もしこの芝居が無ければこのシーン自体が成立しないでしょう。
龍が帽子を深く被る事で、吉田に対して何を思っているかを色々解釈できる点。これが素晴らしい。吉田を直視したくないのか、吉田の気持ちを想うとか、
この芝居一つで色々な解釈が出来ると思います。
夕陽の照り返しの撮影表現が吉田をちょっと違う女に見せている点も上手い。

これは面白い演出。今までの事を走馬灯で振り返っちゃ駄目だろ爽子という感じです。
シリアスの中にあるコメディは、物語を豊穣にする意味でとても有効的です。
まとめ
物語の最後は修羅場の雰囲気を匂わせて次回に続く。
引きも上手いです!爽子は凄い子なのに自分を卑下しちゃう点が恋を傷害する要素です。
今回も自分がクラスに馴染めている点すらわかっていないようでしたし。
彼女がこの点を上手く克服できるかが風早との恋を成就させる秘訣となります。
一方、風早は爽子によそよそしくしないで、きちんと接しないと駄目です(笑)。
毎回の話ですが、この作品は
原作が面白くかつスタッフも一生懸命だから
アニメも面白いという理想的な循環で作られているのが良いですね。
原作とアニメの理想的な出会いの一つであるといえるでしょうね。
またこの作品をIGが制作したのにも驚きでした。
どちらかといえば「攻殻機動隊」のような硬派な作品をウリにしてきただけに
ここ最近の「東のエデン」や「君に届け」といった少女漫画的路線が
実を結んでいるのも会社としては幅が広がってよいと思いました。
(まぁIGは90年代前半に人気少女漫画「僕の地球を守って」を作っていますが、
まだこの頃は会社のイメージが固まっていない頃でした。)
IGは底力がある会社なので、良い企画があればもっと伸びるとは感じています。
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