美樹さやかは本当に
本当の気持ちと向き合えたのでしょうか?
痛みさえ失い、人の心を喪失したかのように見えるさやか。
人間とは何なのかまで問われた内容に感じました。
佐倉杏子の魔法少女になるキッカケも語られた内容。
まどか★マギカは一番気合入れて記事書いてます。
さやかが愛する人を愛する事を放棄し、
己の心も喪失する話です。人間の体を失った魔法少女は人なのか?
今回、問われたのは
「魔法少女は人ではないのか?」という事でしょう。
そして
「人で無くなった少女は恋愛する資格を失うのか?」
「人の心を失ってしまう事の意味」という問題提起をしていた印象です。
今回冒頭、さやかはQBに事情を問いただしますが、
ほむらがまどかに言うように、QBには人間の価値観は通じません。ここは
前回の感想記事のQB擁護論で、書いたとおりでした。
そしてQBが人のままでは、戦いに支障をきたす事を
さやかの体に痛みをはしらせる事で、正に身をもって感じさせます。
ここで
「痛みも完全になくすことができる」という台詞がある事からでも
もはや、さやかの体は人のものではなく、サイボーグみたいなものとして扱われています。
つまり冒頭のQBとさやかの会話は。人間の体ではない事を再強調させるシーンだったわけです。
さやかは、よほどショックのようで、学校を休んでしまいます。

そして、志筑仁美が上條に告白するといわれたさやか。
志筑は上條とさやかの関係を考慮して、さやかに時間の猶予を与えます。
この志筑の行動は人間らしい優しさなのは、今後のさやかの行動と比べると皮肉です。
さやかは志筑が上條を好きな事に驚きます。
おそらくさやかは上條が好きな女の子がいないと
思い込んでいたのでしょう。いやそれ以上に、さやかにとってネックだったのは
既に人間の体を失った彼女は「人間では無い私は、恋愛して良いのか」という葛藤でした。もしソウルジェムの件をあのまま知らずにいれば、魔法少女として死の危険はあるとしても
上條に告白してたかもしれません。それは6話で彼の家に行こうとしていたわけですから。
でもさやかは自分自身の存在が、人間でなくなった事の衝撃を受け止め切れていません。
死んで人の体を失い、人として恋をする事もできない。
そんなさやかは絶望します。まどかの前で人目を憚らず号泣します。
それでもさやかは杏子に言ったように、人の為に戦うと言います。
今回ラスト、人の為に魔女と戦う中でさやかは魔女の攻撃を喰らっても
痛みを全く感じない己の体に本当に絶望感を感じたようです。

「アアモウワタシハヒトデハナイノダナ」
そして魔女に対しての
殺戮!殺戮!!殺戮!!!を行います。
最後の彼女の動き・仕草・表情は人間の表情を逸脱したまるで魔女のようでした。
上條の救えない体を、契約の力と奇跡で直した代償は
自身の死と、人間としての恋愛することさえ放棄させ、
最後にはさやかの人間性をも奪ってしまうものでした。
ここで今回、まどかがほむらに言った言葉を思い返されます。
まどか「ほむらちゃんは優しくないよ」
ほむら「そう。もう人間じゃないから」
本当にほむらの言うように、魔法少女になる=人間の喪失だったのでした。
今回の話は、さやかの完全なる絶望を描ききった展開でした。
ただの死なんてよりもはるかにはるかに重い、この展開。正直、一瞬で死んだマミとは比べにならないほど残酷です。
そして「人間の体を失う悲劇」を描きました。
また少女にとって恋愛は全てであり、その喪失は死に等しいものです。
そして「人とは何か」ということを改めて感じました。
最後のさやかの狂った表情やアクションを見る限り、
人は人の心があれば、人足りえることを改めて感じさせてくれました。
だからこそ人の心を失ったように振舞った最後のさやかを見て
まどかは号泣してしまうのです。
佐倉杏子と美樹さやか、その対照的な関係
今回は佐倉杏子の過去が描かれます。杏子の過去に起こった出来事。それはさやかと同類の「人の為」に願った事。
その結果、全てを失った杏子は、自分と同じ目にあわないようさやかに伝えます。

杏子は正しい事を説く親を救いたいという願いから、魔法少女になりました。
でも6話のまどかのお母さんの言葉を借りれば、一生懸命頑張っても裏目に出てしまいました。
つまり6話のまどかが起こした、さやかのソウルジェムを投げ捨てる行動と同じ意味なのでしょう。
この世界のキャラクターはみんな一生懸命頑張っていますが、
魔法少女になるという選択肢を選ぶと、最悪な結果しか生まれない事がわかってきます。
自分の失敗から、自分の為だけに生きていこうとする杏子。
自分が失敗したと思ってしまっては、過去の自分を否定する事になるから
それでも人の為に魔法少女であり続けるさやか。
二人は対照的に描かれます。杏子の存在目的はさやかと対照なキャラを配置して
テーマを奥深く語る存在なのでしょう。
そんな過去の反省から自分の為に生きる杏子にも脛が痛い点があります。
それはさやかに指摘された
「りんご」の手に入れ方です。
どうやらさやかには言えない点から見て、魔法の力で盗んでいるのでしょう。
杏子の魔法の力である「人を呼ぶ(集める)」能力でリンゴを得ているのでしょう。
盗みという同義に反した行為で手に入れた「りんご」。
さやかは受け取れない理由は明らかです。
杏子はどんな手段を用いても生き抜くと決めたのでしょう。だから盗みも平然とできる。でもさやかは清く生きていこうとする。
その為にりんごを食べなかったのですが、今回最後のさやかを見ると
さやかの決断が果たして正しかったのかどうか、わからなくなってしまいます。

ちなみに盗んだというのが「りんご」というのは象徴的です。
旧約聖書に登場するアダムとイヴが、蛇にそそのかされて食べた善悪を知る果実が
「りんご」であるという話は有名ですが(実はこの話自体は俗説なのですけど)
その故事をモチーフにしたのでしょうか。
話を戻して、今回さやかと杏子の教会の会話劇。最初は杏子の株を上げる内容でしたが、
それ以上にさやかの株を上げる展開になりました。
しかし最後はさやかを奈落に落とす展開。キャラの上げ下げの上手さを思い知らされます。化物語の延長線上としてのまどか★マギカ
この作品は、シャフト制作だと改めて思い知らされます。
今回では、教会で杏子がさやかに話した過去の回想では
キャラクターの絵は劇団犬カレーによって描かれました。
またさやかが魔女と戦う場面では、黒一色で描かれ不気味さが強調されています。

こうしたまどか★マギカは、基本的に「化物語」の手法の延長で作られていると思います。それは膨大な会話劇を極めて情報量・密度の濃いビジュアルで表現する意味においてです。
まどか★マギカも化物語を踏襲し、膨大な会話劇と情報量の濃いビジュアルがウリです
「化物語」の大成功で、ああした演出が成功するのではないかという前提のもと、
まどか★マギカの内容に合わせ、キャラクターとシナリオを用意したのでしょうか。作品にも歴史あり、会社にも歴史ありです。まどか★マギカの成功は化物語にあり、
化物語の成功は以前のシャフトの経験が最大限に発揮されたのが大きいのでしょう。
まとめ
美樹さやかが手に入れたのは、魔法の力と上條君の怪我の回復。
本当に手に入れたかった「上條との恋」は得られませんでした。
この結果なら前回で杏子が言ったように
もっと直接的な願いの方がさやかにとっては幸せだったのかな。
でも願いを叶えるため、魔法少女を選ぶ時点で最悪の結果が待っている印象がします。
今回のさやかがいかに強い意志で立ち上がろうとも
それを奈落に落とすような展開の連続が丁寧すぎるほど描かれました。
何度突き落とされても立ち上がるしかない。まさにゾンビです。さやかが堕ちていく展開はある程度予想できていましたし、
杏子も実は良い奴的な展開もまぁこれも予想できていました。
でもここまで、さやかを絶望に落とすのかって思い知らされました。
「魔法少女とは何か?」から、「人とは何か?」を問う内容になり
個人的にはゾクゾクするほど楽しんでいます。
次回以降はどうなっていくのでしょうか。ワルプルギスの夜はどうなるのか。
まどかはいつ魔法少女になるのか(まぁ最後までならなくても良いですが)
毎度毎度、ヒリヒリ、ゾクゾクする内容です!!
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さやかが愛する人を愛する事を放棄し、
己の心も喪失する話です。人間の体を失った魔法少女は人なのか?
今回、問われたのは
「魔法少女は人ではないのか?」という事でしょう。
そして
「人で無くなった少女は恋愛する資格を失うのか?」
「人の心を失ってしまう事の意味」という問題提起をしていた印象です。
今回冒頭、さやかはQBに事情を問いただしますが、
ほむらがまどかに言うように、QBには人間の価値観は通じません。ここは
前回の感想記事のQB擁護論で、書いたとおりでした。
そしてQBが人のままでは、戦いに支障をきたす事を
さやかの体に痛みをはしらせる事で、正に身をもって感じさせます。
ここで
「痛みも完全になくすことができる」という台詞がある事からでも
もはや、さやかの体は人のものではなく、サイボーグみたいなものとして扱われています。
つまり冒頭のQBとさやかの会話は。人間の体ではない事を再強調させるシーンだったわけです。
さやかは、よほどショックのようで、学校を休んでしまいます。

そして、志筑仁美が上條に告白するといわれたさやか。
志筑は上條とさやかの関係を考慮して、さやかに時間の猶予を与えます。
この志筑の行動は人間らしい優しさなのは、今後のさやかの行動と比べると皮肉です。
さやかは志筑が上條を好きな事に驚きます。
おそらくさやかは上條が好きな女の子がいないと
思い込んでいたのでしょう。いやそれ以上に、さやかにとってネックだったのは
既に人間の体を失った彼女は「人間では無い私は、恋愛して良いのか」という葛藤でした。もしソウルジェムの件をあのまま知らずにいれば、魔法少女として死の危険はあるとしても
上條に告白してたかもしれません。それは6話で彼の家に行こうとしていたわけですから。
でもさやかは自分自身の存在が、人間でなくなった事の衝撃を受け止め切れていません。
死んで人の体を失い、人として恋をする事もできない。
そんなさやかは絶望します。まどかの前で人目を憚らず号泣します。
それでもさやかは杏子に言ったように、人の為に戦うと言います。
今回ラスト、人の為に魔女と戦う中でさやかは魔女の攻撃を喰らっても
痛みを全く感じない己の体に本当に絶望感を感じたようです。

「アアモウワタシハヒトデハナイノダナ」
そして魔女に対しての
殺戮!殺戮!!殺戮!!!を行います。
最後の彼女の動き・仕草・表情は人間の表情を逸脱したまるで魔女のようでした。
上條の救えない体を、契約の力と奇跡で直した代償は
自身の死と、人間としての恋愛することさえ放棄させ、
最後にはさやかの人間性をも奪ってしまうものでした。
ここで今回、まどかがほむらに言った言葉を思い返されます。
まどか「ほむらちゃんは優しくないよ」
ほむら「そう。もう人間じゃないから」
本当にほむらの言うように、魔法少女になる=人間の喪失だったのでした。
今回の話は、さやかの完全なる絶望を描ききった展開でした。
ただの死なんてよりもはるかにはるかに重い、この展開。正直、一瞬で死んだマミとは比べにならないほど残酷です。
そして「人間の体を失う悲劇」を描きました。
また少女にとって恋愛は全てであり、その喪失は死に等しいものです。
そして「人とは何か」ということを改めて感じました。
最後のさやかの狂った表情やアクションを見る限り、
人は人の心があれば、人足りえることを改めて感じさせてくれました。
だからこそ人の心を失ったように振舞った最後のさやかを見て
まどかは号泣してしまうのです。
佐倉杏子と美樹さやか、その対照的な関係
今回は佐倉杏子の過去が描かれます。杏子の過去に起こった出来事。それはさやかと同類の「人の為」に願った事。
その結果、全てを失った杏子は、自分と同じ目にあわないようさやかに伝えます。

杏子は正しい事を説く親を救いたいという願いから、魔法少女になりました。
でも6話のまどかのお母さんの言葉を借りれば、一生懸命頑張っても裏目に出てしまいました。
つまり6話のまどかが起こした、さやかのソウルジェムを投げ捨てる行動と同じ意味なのでしょう。
この世界のキャラクターはみんな一生懸命頑張っていますが、
魔法少女になるという選択肢を選ぶと、最悪な結果しか生まれない事がわかってきます。
自分の失敗から、自分の為だけに生きていこうとする杏子。
自分が失敗したと思ってしまっては、過去の自分を否定する事になるから
それでも人の為に魔法少女であり続けるさやか。
二人は対照的に描かれます。杏子の存在目的はさやかと対照なキャラを配置して
テーマを奥深く語る存在なのでしょう。
そんな過去の反省から自分の為に生きる杏子にも脛が痛い点があります。
それはさやかに指摘された
「りんご」の手に入れ方です。
どうやらさやかには言えない点から見て、魔法の力で盗んでいるのでしょう。
杏子の魔法の力である「人を呼ぶ(集める)」能力でリンゴを得ているのでしょう。
盗みという同義に反した行為で手に入れた「りんご」。
さやかは受け取れない理由は明らかです。
杏子はどんな手段を用いても生き抜くと決めたのでしょう。だから盗みも平然とできる。でもさやかは清く生きていこうとする。
その為にりんごを食べなかったのですが、今回最後のさやかを見ると
さやかの決断が果たして正しかったのかどうか、わからなくなってしまいます。

ちなみに盗んだというのが「りんご」というのは象徴的です。
旧約聖書に登場するアダムとイヴが、蛇にそそのかされて食べた善悪を知る果実が
「りんご」であるという話は有名ですが(実はこの話自体は俗説なのですけど)
その故事をモチーフにしたのでしょうか。
話を戻して、今回さやかと杏子の教会の会話劇。最初は杏子の株を上げる内容でしたが、
それ以上にさやかの株を上げる展開になりました。
しかし最後はさやかを奈落に落とす展開。キャラの上げ下げの上手さを思い知らされます。化物語の延長線上としてのまどか★マギカ
この作品は、シャフト制作だと改めて思い知らされます。
今回では、教会で杏子がさやかに話した過去の回想では
キャラクターの絵は劇団犬カレーによって描かれました。
またさやかが魔女と戦う場面では、黒一色で描かれ不気味さが強調されています。

こうしたまどか★マギカは、基本的に「化物語」の手法の延長で作られていると思います。それは膨大な会話劇を極めて情報量・密度の濃いビジュアルで表現する意味においてです。
まどか★マギカも化物語を踏襲し、膨大な会話劇と情報量の濃いビジュアルがウリです
「化物語」の大成功で、ああした演出が成功するのではないかという前提のもと、
まどか★マギカの内容に合わせ、キャラクターとシナリオを用意したのでしょうか。作品にも歴史あり、会社にも歴史ありです。まどか★マギカの成功は化物語にあり、
化物語の成功は以前のシャフトの経験が最大限に発揮されたのが大きいのでしょう。
まとめ
美樹さやかが手に入れたのは、魔法の力と上條君の怪我の回復。
本当に手に入れたかった「上條との恋」は得られませんでした。
この結果なら前回で杏子が言ったように
もっと直接的な願いの方がさやかにとっては幸せだったのかな。
でも願いを叶えるため、魔法少女を選ぶ時点で最悪の結果が待っている印象がします。
今回のさやかがいかに強い意志で立ち上がろうとも
それを奈落に落とすような展開の連続が丁寧すぎるほど描かれました。
何度突き落とされても立ち上がるしかない。まさにゾンビです。さやかが堕ちていく展開はある程度予想できていましたし、
杏子も実は良い奴的な展開もまぁこれも予想できていました。
でもここまで、さやかを絶望に落とすのかって思い知らされました。
「魔法少女とは何か?」から、「人とは何か?」を問う内容になり
個人的にはゾクゾクするほど楽しんでいます。
次回以降はどうなっていくのでしょうか。ワルプルギスの夜はどうなるのか。
まどかはいつ魔法少女になるのか(まぁ最後までならなくても良いですが)
毎度毎度、ヒリヒリ、ゾクゾクする内容です!!
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自分一人ではとてもここまでは至りません。もっと色々な作品をみようと思います。
QBについて私もブログ主さんと同意見ですが、人間の価値観をわかった上で知らないふりをしていると主張する人もいるようです。
これからもがんばってください。