ついに多蕗桂樹が本性を表します。
彼の目的は陽毬を殺し「罰」を与える事。
「罪と罰」はこの作品の大きなテーマの一つです。
今回は物語後半のエレベーター描写についてと
ウテナファンには馴染みのアニメーターで
今回の作画監督、相澤昌弘さんにも触れてみました。
感想高倉陽毬は相変わらずの可愛さ。
今回のスタートは高倉3兄弟が病院内でたこ焼きパーティーをする所から始まります。

陽毬はいつも底抜けに可愛いなぁ。


陽毬が可愛いのは、いつもの事ですが、
これは今回のテーマである「罰」を効果的に見せる展開だといえます。
つまり最初にガツンと可愛い陽毬を見せておいて
今回、ずっとサネトシ先生やプリンセスが言っていた
「大事なものが失わせる」ことを強調させる構成と言えるでしょう。
陽毬が可愛いからこそ、家族だからこそ、何より愛しているからこそ
失う事への衝撃は高倉兄弟にとって大きいのです。
といいつつ舞台はクリスタルワールドへ
そんな楽しくしていた3人で、ピングドラムの事はほっとこうみたいな事を言っていたら
ちゃんと出てきましたねプリンセス。

口に青のりを付けているところが素晴らしいですね。

相変わらず、ピングドラムを手に入れろというのですが、
なぜか核心部分になるとはぐらかすプリンセス。そして話は前後しますが
「ピングドラムを手に入れないと大事なものが失われる」と言うプリンセス。
結局 は落とされ、プリンセスの生存戦略が行われます。


体を肌蹴て生存戦略を積極的に試みようとするプリンセスに比べ
「俺には救えない」と項垂れる冠葉。そんな冠葉にプリンセスは強引に…

ここから一気に画面の色使いが変わりましたね。
影にザクっと黒を用いつつも、光量を多くし明るくしている事で
キャラクターの内面にある明と暗を表現させる演出意図なのでしょうか。

結局プリンセスになすがままに倒される冠葉。
生存戦略を求めるプリンセスにとって冠葉とのこの時間は不可欠のようです。
興味深いのはプリンセスは「ピングドラムはお前(冠葉)の…」というところ。
では「冠葉の何」とは何か。これは多くの人の指摘するように
生存戦略のバンクシーンが性行為の暗喩に満ちている事から
何よりプリンセスが何度も冠葉を求めている事から
「冠葉の精子」という見方も出来るのではないでしょうか。
少なくともプリンセスは冠葉を欲しているのは間違いないようです。
嘘つきな多蕗桂樹
場面は変わって、多蕗桂樹と時籠ゆりが話しています。
あんまし最近は接点がなかったようですが、繋がっていたのですね。

桃果が消える事になった事件を引き起こした高倉一家に対して
許せないというゆりに対し、憎しみからは何も生まれないと諭す桂樹。
そんな桂樹の態度にゆりは何とも言えない感情でしたが
少なくともその態度は受け入れがたいものでした。

桃果が世界を書き換えた事によって、彼らの後ろにある東京タワーを背にしながら
二人が話し合っているシーンは、感慨深いものがあります。
しかし私にはこの東京タワーを境に二人には大きな溝が出来てしまったようにも見えます。
それは後述しますが「罰を与えても無駄」といった桂樹の本心とは逆だったからです。
つまり桂樹こそ高倉家に「罰」を与えたかった存在だったからです。
(というか二人とも「罰」を与えたいのね)
サネトシさんの意味深な発言
サネトシさんが神妙な事を言っていたので引用します。
「人間の世界では真実は必ずしも本当の事じゃない。
人間は自分の見たい願望や欲望だけを真実という。
人間は真実が口実になれば人だって殺せるんだ。
戦争、戦争だよ。もうすぐ戦争が始まる。」この真実が口実なれば人だって殺せるという部分に痺れました。
おそらくはこの作品が地下鉄サリン事件を射程に入れている事から
テーマ的には「オウム真理教」の事を差しているのは間違いないでしょう。
彼らは自分たちだけの真実を口実に人殺しを、そして戦争を起こそうとしたのですから。
物語的にはこれから高倉家に「罰」を与えたい、ゆりや多蕗の事を差すのでしょう。
何より私のような人間のことを差しているのでしょうね。
陽毬のお出かけ、それが事件の引き金に
陽毬は苹果と一緒に買い物に出かけちゃいます。

同じ年ごろ同士の楽しいお買い物には幸せな空気を感じる事ができますね。
しかしそこへゆりさんが苹果へ電話を掛けます。
陽毬がいることを告げるとゆりさんは一緒に連れて来てと言います。
ゆりさんの復讐のおぜん立ては整ったかのように見えましたが…そこへ…
宿命の対決 ゆりVS真砂子
そんなゆりさんの前に現れたのは真砂子さん。
二人はお互いが段々宿命的な関係になりつつありますね。
この一連のシーンの音楽カッコ良すぎです。
(橋本さんの音楽は劇中曲の編曲含め素晴らしい仕事をしています。)

生娘ゆえに世間に自分を消費される事を恐れて世界の半分しか見えていない(ゆり)賞味期限が過ぎ、人生をディスカウントするしか生きるすべがない(真砂子)あなたを信じない限りあなた自身が消費されるだけ(ゆり)あなたの人生は既に消費されたわ!(真砂子)とお互い物凄い罵りかたをしています。もう台詞が直喩すぎて、たまりません。


また戦いのテンションに合わせながら、
羽のエフェクトがかかり、ペンギンが桜吹雪がまくのは素晴らしいですね。
こうした演出がピンドラの魅力ではないでしょうか。
多蕗桂樹とエレベーター。その演出意図
そして陽毬と苹果は多蕗と偶然出くわします。多蕗側には偶然ではないのでしょうが。
そんな3人はエレベーターに乗るシーンがあります。


上昇し続けるエレベーター。いつもの不気味な音楽とともに話される多蕗の言葉。
おそらく多蕗のテンションの高揚をエレベーターの上昇とともに表現した演出でしょうね。
そしておそらく乗ったエレベーターは東京タワーなのでしょうかね。

一方で、多蕗というキャラは空を見るキャラなのでしょうかね。
例えば前半のOPでは、窓越しに空を見る多蕗のショットがあったりしますし。
そういえばこの作品ではエレベーターも効果的に使われます。
陽毬が9話でサネトシさんの世界に行った時もエレベーターでしたし。

まぁそれを言うと、幾原さんがエレベーターが好き、おそらく階段も好きなのでしょう。
例えば、上のキャプは「少女革命ウテナ」の1シーンでサネトシさんみたいなキャラが
エレベーター内でしょげこんでいるシーンです。
何故エレベーターのシーンが好きか。
それは上下に移動する事で心理を描写できるから、画面効果が計算できるからでしょう。
相澤昌弘作画監督について
今回の作画監督は中村章子さんと相澤昌弘さん。
相澤さんといえば「少女革命ウテナ」の作画監督として大活躍された方です。
(ウテナの仕事が評価されたのでしょうか、J.C.STAFFが次に作った
魔術師オーフェンではキャラクターデザインに抜擢されましたし)
という事で、またまたウテナゆかりの人が参加されたので嬉しかったです。


ただ今回は武内宣之さんや後藤圭二さんのように一人原画では無く
中村さんとの共同作監でもある為、純な相澤さんっぽい部分はそこまでなかったですね。
そんな中でも上にあげた所は相澤さんらしいタッチだったと思います。
まとめ
多蕗が殺意を表明する前の陽毬のショットが可愛いですね。

直前までこの可愛さを描写するからこそ、多蕗の言葉が恐ろしく聞こえるのです。
多蕗は次回どんな行動にでるのでしょうかね。
本当に殺しにかかるのか…。でも多蕗も許すはずもないだろうし。
今回もとても面白かったです。
というか面白すぎて辛い。
そして来週は山内重保さん演出回です!お楽しみに!!
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感想高倉陽毬は相変わらずの可愛さ。
今回のスタートは高倉3兄弟が病院内でたこ焼きパーティーをする所から始まります。

陽毬はいつも底抜けに可愛いなぁ。


陽毬が可愛いのは、いつもの事ですが、
これは今回のテーマである「罰」を効果的に見せる展開だといえます。
つまり最初にガツンと可愛い陽毬を見せておいて
今回、ずっとサネトシ先生やプリンセスが言っていた
「大事なものが失わせる」ことを強調させる構成と言えるでしょう。
陽毬が可愛いからこそ、家族だからこそ、何より愛しているからこそ
失う事への衝撃は高倉兄弟にとって大きいのです。
といいつつ舞台はクリスタルワールドへ
そんな楽しくしていた3人で、ピングドラムの事はほっとこうみたいな事を言っていたら
ちゃんと出てきましたねプリンセス。

口に青のりを付けているところが素晴らしいですね。

相変わらず、ピングドラムを手に入れろというのですが、
なぜか核心部分になるとはぐらかすプリンセス。そして話は前後しますが
「ピングドラムを手に入れないと大事なものが失われる」と言うプリンセス。
結局 は落とされ、プリンセスの生存戦略が行われます。


体を肌蹴て生存戦略を積極的に試みようとするプリンセスに比べ
「俺には救えない」と項垂れる冠葉。そんな冠葉にプリンセスは強引に…

ここから一気に画面の色使いが変わりましたね。
影にザクっと黒を用いつつも、光量を多くし明るくしている事で
キャラクターの内面にある明と暗を表現させる演出意図なのでしょうか。

結局プリンセスになすがままに倒される冠葉。
生存戦略を求めるプリンセスにとって冠葉とのこの時間は不可欠のようです。
興味深いのはプリンセスは「ピングドラムはお前(冠葉)の…」というところ。
では「冠葉の何」とは何か。これは多くの人の指摘するように
生存戦略のバンクシーンが性行為の暗喩に満ちている事から
何よりプリンセスが何度も冠葉を求めている事から
「冠葉の精子」という見方も出来るのではないでしょうか。
少なくともプリンセスは冠葉を欲しているのは間違いないようです。
嘘つきな多蕗桂樹
場面は変わって、多蕗桂樹と時籠ゆりが話しています。
あんまし最近は接点がなかったようですが、繋がっていたのですね。

桃果が消える事になった事件を引き起こした高倉一家に対して
許せないというゆりに対し、憎しみからは何も生まれないと諭す桂樹。
そんな桂樹の態度にゆりは何とも言えない感情でしたが
少なくともその態度は受け入れがたいものでした。

桃果が世界を書き換えた事によって、彼らの後ろにある東京タワーを背にしながら
二人が話し合っているシーンは、感慨深いものがあります。
しかし私にはこの東京タワーを境に二人には大きな溝が出来てしまったようにも見えます。
それは後述しますが「罰を与えても無駄」といった桂樹の本心とは逆だったからです。
つまり桂樹こそ高倉家に「罰」を与えたかった存在だったからです。
(というか二人とも「罰」を与えたいのね)
サネトシさんの意味深な発言
サネトシさんが神妙な事を言っていたので引用します。
「人間の世界では真実は必ずしも本当の事じゃない。
人間は自分の見たい願望や欲望だけを真実という。
人間は真実が口実になれば人だって殺せるんだ。
戦争、戦争だよ。もうすぐ戦争が始まる。」この真実が口実なれば人だって殺せるという部分に痺れました。
おそらくはこの作品が地下鉄サリン事件を射程に入れている事から
テーマ的には「オウム真理教」の事を差しているのは間違いないでしょう。
彼らは自分たちだけの真実を口実に人殺しを、そして戦争を起こそうとしたのですから。
物語的にはこれから高倉家に「罰」を与えたい、ゆりや多蕗の事を差すのでしょう。
何より私のような人間のことを差しているのでしょうね。
陽毬のお出かけ、それが事件の引き金に
陽毬は苹果と一緒に買い物に出かけちゃいます。

同じ年ごろ同士の楽しいお買い物には幸せな空気を感じる事ができますね。
しかしそこへゆりさんが苹果へ電話を掛けます。
陽毬がいることを告げるとゆりさんは一緒に連れて来てと言います。
ゆりさんの復讐のおぜん立ては整ったかのように見えましたが…そこへ…
宿命の対決 ゆりVS真砂子
そんなゆりさんの前に現れたのは真砂子さん。
二人はお互いが段々宿命的な関係になりつつありますね。
この一連のシーンの音楽カッコ良すぎです。
(橋本さんの音楽は劇中曲の編曲含め素晴らしい仕事をしています。)

生娘ゆえに世間に自分を消費される事を恐れて世界の半分しか見えていない(ゆり)賞味期限が過ぎ、人生をディスカウントするしか生きるすべがない(真砂子)あなたを信じない限りあなた自身が消費されるだけ(ゆり)あなたの人生は既に消費されたわ!(真砂子)とお互い物凄い罵りかたをしています。もう台詞が直喩すぎて、たまりません。


また戦いのテンションに合わせながら、
羽のエフェクトがかかり、ペンギンが桜吹雪がまくのは素晴らしいですね。
こうした演出がピンドラの魅力ではないでしょうか。
多蕗桂樹とエレベーター。その演出意図
そして陽毬と苹果は多蕗と偶然出くわします。多蕗側には偶然ではないのでしょうが。
そんな3人はエレベーターに乗るシーンがあります。


上昇し続けるエレベーター。いつもの不気味な音楽とともに話される多蕗の言葉。
おそらく多蕗のテンションの高揚をエレベーターの上昇とともに表現した演出でしょうね。
そしておそらく乗ったエレベーターは東京タワーなのでしょうかね。

一方で、多蕗というキャラは空を見るキャラなのでしょうかね。
例えば前半のOPでは、窓越しに空を見る多蕗のショットがあったりしますし。
そういえばこの作品ではエレベーターも効果的に使われます。
陽毬が9話でサネトシさんの世界に行った時もエレベーターでしたし。

まぁそれを言うと、幾原さんがエレベーターが好き、おそらく階段も好きなのでしょう。
例えば、上のキャプは「少女革命ウテナ」の1シーンでサネトシさんみたいなキャラが
エレベーター内でしょげこんでいるシーンです。
何故エレベーターのシーンが好きか。
それは上下に移動する事で心理を描写できるから、画面効果が計算できるからでしょう。
相澤昌弘作画監督について
今回の作画監督は中村章子さんと相澤昌弘さん。
相澤さんといえば「少女革命ウテナ」の作画監督として大活躍された方です。
(ウテナの仕事が評価されたのでしょうか、J.C.STAFFが次に作った
魔術師オーフェンではキャラクターデザインに抜擢されましたし)
という事で、またまたウテナゆかりの人が参加されたので嬉しかったです。


ただ今回は武内宣之さんや後藤圭二さんのように一人原画では無く
中村さんとの共同作監でもある為、純な相澤さんっぽい部分はそこまでなかったですね。
そんな中でも上にあげた所は相澤さんらしいタッチだったと思います。
まとめ
多蕗が殺意を表明する前の陽毬のショットが可愛いですね。

直前までこの可愛さを描写するからこそ、多蕗の言葉が恐ろしく聞こえるのです。
多蕗は次回どんな行動にでるのでしょうかね。
本当に殺しにかかるのか…。でも多蕗も許すはずもないだろうし。
今回もとても面白かったです。
というか面白すぎて辛い。
そして来週は山内重保さん演出回です!お楽しみに!!
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