サブタイトルの「かなえられた願い」。
イサコの本当の願いが、あっちの世界で
お兄ちゃんとずっと二人で一緒にいたい事。
それをかつてミチコさんに願ってしまったために、
お兄ちゃんはあっちの世界にいってしまったのだ。
そしてデンスケを助ける為に、あっちの世界を開いてしまうよう
イサコに仕向ける猫目。しかし猫目の目的を阻止するために
イサコは空間を閉じるように仕向ける。
しかしその結果、イサコがあっちの世界へ・・・。
「かなえられた願い」とはイサコがあっちの世界へ
行く事だと思うと、今となっては余りにも皮肉すぎる結果だ。
イサコとヤサコの電話での会話が圧巻だった。
SF展開が物語の核ではあるが、二人の関係がこの話の
ドラマの核であるからこそ、この会話は非常に重要だと思う。
「お前とは、友達になれたかどうかわからない。私には友達というのがよくわからない。でも、こんなにも近くに来てくれた他人はお前が始めてだ。でも、やはり私が住む世界は進む道が違うんだ。」
「人と人の間には距離がある。遠い距離が。私と兄さんの間にも・・・。でも、ゆっくり丁寧に探せば隔たりを繋ぐ道が見つかるのかもしれない。その道は凄く細くて、ちょっとでも目を逸らすと、すぐにでも見失ってしまう。だから必死に目を凝らして探さなくっちゃいけないだ。道があることを信じられなくなったら、その道は本当になくなってしまうかもしれない。だから道は必ずあると信じ続けなくっちゃいけないんだ。」
(中略)
「メガネで見えるものなんて全てまやかしだ。もうメガネなんて捨てろ。そして手で触れられるものだけを信じるんだ。さもないと私のようにメガネに殺されるぞ。さよなら」
イサコの会話は背景に考古の資料が展示されながら、
道らしき道が見えたり見えなかったり、最後には細くなっていて
背景で会話の暗喩している表現だったのも秀逸。
そしてイサコを助けに来たヤサコに対して、壁の暗号を張って
「来るな」と言う。これは「人と人の距離」を表現してしまった感じだ。
ちょっとATフィールドを思い出したんだけどね。
そして付け加えるとEDの最後に流れる歌詞が
今回イサコが言ってた「道は続いている、繋がってる」なんですよ。
やっとわかりました。話と歌詞をそう繋げるのかと。もうボロ泣きでした。
正直、磯光雄監督、井上俊之、本田雄という凄腕アニメーター達の鉄板の布陣で
作画的な面白さを一番に期待していたのですが(勿論ここも凄いけど)、
物語的にここまで楽しめる・興味がもてる話になるとは想像もできませんでした。
商売的には厳しい(DVDはあんまし売れてないみたい)かもしれないが、
商品ではなく、作品として本当に僕は気に入ってしまいました。
オリジナルアニメは本当にツボにはまると面白いです。
- 関連記事
-