ニコニコで配信が開始された新造人間キャシャーン。
4話は富野喜幸(現:富野由悠季)演出回なので、さっそく見てみた。
うむ。面白い。
最初のキャシャーンとルナの噛み合わない会話劇も
二人の考えている方向性が、はなから違うから
噛み合わない事を強調する見せ方も富野さんらしい。
噛み合わないときはどんなに互いを思っても噛み合わない。
この描写は最後に二人の気持ちが繋がるための伏線であるのもポイント。
アクション面では敵に奪われたMF銃に打たれて死んだと見せかけて
敵ロボットの脚にしがみついてあたりの描写は
柔道部出身の富野さんだけあって、粘りある説得力の高い描写に仕上がっていた。
またキャシャーンの目がくらんだり、ルナを人質を取られるといった不利なときは
キャシャーンが下手側に回るが、状況が変わり有利になると上手にまわるなど
富野さんの映像の原則で見られる「上下」のこだわりもきちんと感じさせる。
後は動勢の扱い方が面白い。
キャシャーンやルナが逃げる時、
もしくはルナの父親がアンドロ軍団に襲われるといった
不利な状況を演出するときは、左から右へ画面が進む、キャラが動く。
一方でルナが敵の城へ潜入する。
キャシャーンが敵の城を攻め落とすといった有利で攻性な状況を描写するときは
右から左へ画面が進み、キャラが動く描写を取る。
最後はルナがキャシャーンの元から去り画面左側から右側へルナを乗せた船が進むが
ルナの進路方向に先回りしたキャシャーンが待っているという描写も
今回で示された、右から左、左から右の画面動勢の法則を逆転させて
最後のカタルシスを発生させることに繋げる演出は見事だった。
画面の動かし方一つをとっても法則性・ルールを用いて
画面をコントロールして物語を盛り上げる富野演出。
旧アニメスタイル2号でりんたろう監督が「富野ちゃんはロジックだよねぇ」
といわれる所以もわかる回だった。
最後にタツノコの圧倒的なキャラデザイン力に富野演出は中々に贅沢。
デザインがしっかりしているからこそ、演出もキャラの深さを抉りだして放り込められる。
特にルナの描写で感じた。
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