今回はアニメと時間のお話。
機動戦士ガンダムや太陽の牙ダグラム、新世紀GPXサイバーフォーミュラなどを手がけた
脚本家星山博之さんの著書「星山博之のアニメシナリオ教室」には
「アニメの感動の本質は時間の経過の積み重ね」
「映像の本質は物理的な時間の流れよりもはるかに短い時間で時の流れを人に感じさせる事」という言葉があり、その通りだと納得しました。
アニメの感動は時間の経過/経過のさせ方によってもたらされるもの。
そんな星山さんの言葉がふとよぎったのはラブライブのアニメです。
 | 星山博之のアニメシナリオ教室 (2007/06) 星山 博之
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ラブライブのアニメについて語っている人からも指摘されている通り
ラブライブの時間感覚、スピード感、段取りを省略する展開など
目まぐるしいともいえる映像的疾走感を存分に堪能することができます。
まさに星山さんの言うところの
「映像の本質は物理的な時間の流れよりもはるかに短い時間で時の流れを人に感じさせる事」
に繋がってくるところでしょう。
特に8話では星山さんの言葉が生きてくる。
それはラストあたりの流れ。
生徒会長達がμ'sへの参加することを決意し、
その後、次のカットではオープンキャンパスでのμ'sの本番シーンに映り、
彼女たちが歌い・踊る中で、今までやってきた彼女達の特訓/努力が描かれる。
時間経過の順番とすれば、生徒会長達が参加→μ'sの特訓→オープンキャンパス、ですが
本編では、生徒会長達が参加→オープンキャンパス→μ'sの特訓と描かれます。
つまり時間の経過/順番に囚われず、映像を組み立て、感動を呼び起こしているのです。
一方で、本番シーンの前までの物語展開の時間経緯は順番通りにやっている。
だからこそ、最後で起こした時間の経過の順番に囚われない、映像の組み立て方が生きてくる。
こうした時間経過の圧縮/組み立て方で感動を呼び起こしているのがラブライブなのです。
これこそ星山さんの言う
「アニメの感動の本質は時間の経過の積み重ね」
の実践の一つであり、その応用といえるのではないでしょうか。
最後に星山博之さんはガンダムやダグラム、サイバーフォーミュラなど
多くのサンライズ作品を手がけてきました。
そしてラブライブの制作もサンライズです。
サンライズという制作会社には、
こうした時間の圧縮/時間の順番に囚われず見せていくノウハウ
もしくは無意識下で綿々と連なっている遺伝子があるのかもしれません。
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