豆大とひなこの初恋話。
そしてあんことユズキの初恋話。
世代は違えど、恋に苦しみ、悩みそして立ち向かっていく話。
そんな豆大やあんこを支えたのは、周りのみんな。
あんこの気持ちを知った、もち蔵は自分もモニョる傾向もあるから
同じ悩みを抱えるあんこを助けるし、たまこもたまこなりにあんこを後押しする。
みんな仲間だ。
豆大の過去は豆大以外は、詳しく描かれなかったが、
喫茶店のマスターは、豆大とひなこを
フォローしていたのかもしれないなんて考えると面白い。
そういう意味では、豆大やあんこの恋を生むキッカケとなり支えていたのは
「うさぎ山商店街」であったという見方もできるだろう。
今回は、あんことユズキ君の距離感がまず面白い。
最初は、あんこはユズキ君が店に買い物に来ても
直接、面を向き合うことができずにお互いの距離が遠い。
あんこは恋に悩んで動けず、ユズキ君との距離を縮められず、
そして、もち蔵はあんこからユズキ君の引越しを聞く。
ここでさらに距離感は遠くなる。
そんな、あんことユズキ君の間に、
物理的にも精神的にも距離をできるだけ離しておいて
最後に、あんこがユズキ君の家に、走って向かうことでググッと距離感が近くなる。

あんこが走ることで生じる疾走感によって距離感がグッと縮む。
カタルシスが生じ、見ていて気持ちよかった。
レイアウト的にも、特にあんこが回るように走るシーンは
フレームに収まらない広い空間を用いることで、ダイナミズムを生み出していた。

そしてあんことユズキ君が実際に出会い距離感を無くしたところで
ユズキ君は「引越ししても、たまやに買いに来る」という事で
お互いの距離感は消えるように無くなる展開。見事で気持ち良い流れ。
一方で、あんこが距離感を縮めるかと思いきや。
親父の豆大は過去の事が知れると、一人でみんなと外れた場所にいる。
映写機で過去のライブを映したシーンでは、彼は映像から視線を逸していたし、
一人でギターを弾いていたシーンも、豆大が一人みんなと距離を置こうとしたシーンである。
つまり、あんこの問題が解決すると、豆大とみんなの距離感を生む状況が生じたわけ。
それは豆大が一人で過去の自分を振り返りたい事の証でもあるのだろう。
さらにいえば、豆大のそばにはいつでもひなこがいるという事でもあるのだろう。
親も子も同じようなことで悩み、そしてうさぎ山商店街で生きていくのだ。
今回はとても面白かった。今までの中でもトップクラスかも。
木上さんっぽい作画的な見所が多かったので、クレジットを見たら三好さん。

今回はかんなの餅つきを真似る所作や、チョイさんの踊りのシーンの作画が
動き的な密度がかなり高くてとても良かった。
また多くのキャラに見せ場があり、あんまし物語には絡んでいないとはいえ
みどりさんやかんなにも見せ場があって楽しかった。史織さんは回らなかった感じだが・・・
今回は豆大にも焦点が当たった話だが、
おそらく三好さん=木上さんはおそらく40代~50代の方だと推測できるので
もしかすると、豆大に自分の感情を寄り添ってコンテを切ったのかもしれない。
自分が豆大なら、こういう風な感じで行動するみたいな。
- 関連記事
-