逆襲のシャアにおける、αアジールの機体名の意味から考えるクエス・パラヤ論 

はじめに

「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」における
クエス・パラヤというキャラを考える時に
αアジールという機体を抜きには考えられない。
ではクエスとαアジールの関係性とは何か。
αアジールという機体名に込められた意味から考えてきたいと思う。

アジールの意味~クエスにとっての聖域/避難所

まず、wikiでアジールを検索すると以下のような説明だ。

アジールあるいはアサイラム(独: Asyl、仏: asile、英: asylum)は、歴史的・社会的な概念で、「聖域」「自由領域」「避難所」「無縁所」などとも呼ばれる特殊なエリアのことを意味する。ギリシア語の「ἄσυλον(asulon:侵すことのできない、神聖な場所の意)」を語源とする。具体的には、おおむね「統治権力が及ばない地域」ということになる。

 
端的にいえばアジールとは、聖域/自由領域/避難所であり、
これが具体的にどこを指すのかといえば、西洋では神殿であり、
日本ではかつてあった縁切り寺などが該当する。

そしてαの意味をgoo辞書で調べると

アルファ【Α/α/alpha】

1 〈Α・α〉ギリシャ語アルファベットの第1字。
2 物事の最初。「―からオメガまで」
3 〈α〉ある未知数。また、ある数量に付け加えられるわずかな量。「プラス―」
4 〈Α〉
㋐野球で、後攻チームが最終回の攻撃をしないで、または終えないで勝ちが決まったとき、その得点につける記号。現在ではXを用いる。スコアブックに記されたxをαと読み違えたところからという。
㋑走り高跳び・棒高跳びで、次の高さに挑戦しないで試技を終えたとき、それまでの記録につける符号。「二メートル―」
5 〈α〉金属・合金などで相を示す記号の一。
6 〈α〉有機化合物の炭素原子の位置を示す記号の一。 【goo辞書より】

  

となっている。

これらαとアジールのそれぞれの意味を、
クエスにおけるαアジールの関係に上手く当てはめるとするなら

αアジールは、クエスにとっての始めての聖域/避難所といえる場所であるといえるだろう。

クエスはなぜαアジールに乗らなければならなかったのか

そもそもクエスというキャラは逃げ続けてきたキャラだと思う。

まず家庭を顧みない地球連邦の腐った官僚の象徴ともいえる
父:アデナウアー・パラヤが嫌で逃げた。
次に偶然出会ったアムロに惹かれるも、チェーンがいた為にシャアと共に逃げた。
そして(無自覚にも)クエスを鬱陶しいと感じたシャアが
クエスにプレゼントしたのが、αアジールという
クエスにとって最初の聖域であり避難所だったわけである。

言い換えればシャアがクエスにαアジールという逃げ場所を与えたようなものであり、
逆にクエスはシャアにのせられて、αアジールに逃げてきてしまったともいえる。

そう考えると、家庭からも様々な環境からも逃げ続けてきたクエスが
αアジールという避難所の名を冠した、機体を最後に乗ったのは必然であったようにも感じる。


しかし逃げ続けてきたクエスは、だからこそαアジールで死ぬしかなかったともいえるし、
逃げ続けてきてしまったため、ハサウェイを含めて誰の耳も貸さなくなってしまった。
その意味では、ハサウェイがクエスを助けたかったのであれば、
αアジールに乗る前までがチャンスだったのかもしれない。
αアジールに乗ってからでは遅かったのだと言えるのかもしれない。

終わりに

富野監督が、αアジールという機体名を付けたのかわからないが、
クエスというキャラの有り様をαアジールという名前は見事に現している事を考えると、
おそらくαアジールという名前は、作り手が確信を込めて使っているのだろう。

そんなキャラとキャラの背景、そして機体名が見事に合致したクエスとαアジール。
逆襲のシャアにおけるクエスは、逃げ続けてきたことによって
最初の聖域/避難所を手に入れたものの、救われることはなかった意味で
富野監督の当時のニュータイプへの認識を象徴するキャラクターなのである。
 
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[ 2013/04/08 21:37 ] 富野由悠季 | TB(0) | CM(0)
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