「帰宅部活動記録」4話を見る。
ゆるい感じと、メタなネタが飛び交うのが面白い作品だ。
今回はAパートの野球がとても面白かった。
今期の中でも、とても楽しみになりつつある作品になっている。
さてこのアニメを見ていて思うのは、アニメにおけるツッコミの難しさだ。

主人公であり本作のツッコミ役の安藤夏希のツッコミは
どうしてもツッコミ役として弱いと感じてしまう。
ボケが面白いので、相対的にツッコミが弱く感じられてしまう。
突っ込みの内容自体は悪くはないが、なにかしっくりこない。
それは安藤夏希はツッコミ役ではあるが、
キャラクター(もしくは演者)がツッコミ役としての技術を積んでいるかは
別にあるところに理由があるのかもしれない。
例えば、漫才におけるボケとツッコミを例にしてみたい。
ボケは発想/アイディアが面白ければ成立するが、
ツッコミは演者の努力で成り立つものである。
ツッコミの第一人者であるダウンタウンの浜田の
若かかりし時代のツッコミについて、以下のような記述がある。
中田カウス・ボタン、西川のりお・上方よしおなど「つっこみがうまい」と評判の先輩の舞台を、浜田は袖から何度も見た。役割分担ができてすぐは、「つっこみが弱い」と評されることもあったが、浜田はやがて松本のボケを殺さず、しかも対抗できるような変幻自在のつっこみを身につけていく。
「ダウンタウンの理由 著:伊藤愛子 1997年 集英社」


ダウンタウンの浜田が若手の頃は、
浜田と松本のボケとツッコミの役割分担ができていなかったようだ。
そしてステップアップの為にボケとツッコミの役割分担が明確化させたが、
その当初、浜田はツッコミが弱いと周りから言われていたようだ。
その克服の為に、地道に中田ボタンなどを参考にして今のツッコミ術を取得した。
ツッコミが日々の積み重ねによる努力で築き上げられるものがわかる。
つまりキャラクターに浜田のようなツッコミの訓練がなされているかどうか。
たぶん安藤夏希は演者も含めそういうキャラではない。
キャラクター(もしくは演者)にお笑い芸人のような
日々の積み重ねにより取得するツッコミの技術を
求めること自体はおかしいと言われればそれまでだが、
ツッコミ力が弱ければ、ボケが生かしきれない側面は必ず出てくる。


一方で、こうした絵による解説付きツッコミがあることで、
説明/解説としてのツッコミは機能していて、アニメの強みでもある。
こうした画が、ツッコミの役割を上手くフォローしている。
ボケが面白いので、ツッコミ不在のままで進めてもいいのではないかとも思ってしまうが、
ツッコミ不在だと、場が収拾つかなくなり面白くなくなる可能性もあるので必要なのだろう。
さらにはツッコミを入れられる事自体が主人公:安藤夏希の特権なのかしれない。
つまり帰宅部活動記録はこうしたボケ先行の作風でもあるのだろうと個人的には感じた。
もしくは場数を踏んで、安藤夏希のツッコミが成長するのを見てみたい。
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個人的にはツッコミキャラとして彼女が自分自身を肯定し、ツッコめる事に対して幸福感を得ているような描写があれば独特の痛々しさが薄れるのかなぁと