「劇場版 魔法少女まどかマギカ 新編 叛逆の物語」は「コゼットの肖像」の別の可能性なのか 

はじめに

「劇場版 魔法少女まどかマギカ 新編 反逆の物語」の
まどかとほむらの関係について考えてみたいと思い、
新房監督の「コゼットの肖像」と「The Soul Taker 〜魂狩〜」と
比較しながら考察したいと思った。

※ネタバレが多いので、劇場版を未見の人は注意してください。


まどかとほむらの関係

まどかを独占的に愛したい悪魔ほむら。
魔法少女全ての苦しみの解放を願い、世界を作りかえた神まどか。
ほむらはまどかだけを望み、まどかはほむらも含めた人の救いを望む。
ほむらは何があってもまどかなのだ。

後述するが、新房監督作品では、愛を独占したいキャラがよく描かれる。

魔法少女まどかマギカの原点としてのコゼットの肖像

ここでまどかマギカとコゼットの肖像と比較したい理由を挙げてみる。

それは、劇場版まどかマギカを見ながら感じていたのは、
幻想的なビジュアルイメージ、そして物語展開の突き放し方が
「コゼットの肖像」もしくは「The Soul Taker 〜魂狩〜」の頃の
新房さんの作りにかなり近かったという事だ。

kozet000.jpg
(参考:コゼットの肖像:3話より、ほむらのイメージに近いと思った)

最近「コゼットの肖像」が「魔法少女まどかマギカの原点」というキャッチコピーで
BS11で再放送されたが、それは宣伝的な煽りだけではない事はわかったし、
他でもコゼットの肖像の公式HPにある、新房監督のコメントでも
はっきり「コゼットの肖像」を「まどかの原点でしょう」とも言っている。

コゼットの肖像とは-劇場版まどかマギカとの比較

「コゼットの肖像」は、倉橋永莉がグラスの中に映る幻の少女コゼットという少女と
血の契約を交わし、永莉は正体不明のコゼットの実像を追っていく。
この中で、倉橋永莉はコゼットを追い求め、コゼットは永莉を自分の世界へ誘う。
しかし最終的には、永莉はコゼットの誘いを振り切り、現実の世界へ還る。

まどかマギカの接点でコゼットを語るなら、
執拗に自分のために永莉を求めるコゼット、
まどかを自分だけのものにしたい・求める暁美ほむら、
この二人の感情の趣き/方向性に共通点を感じられること。
永莉とコゼットの契約が、魔法少女的な契約と連想できることが挙げられる。

The Soul Taker 〜魂狩〜との比較

次に「The Soul Taker 〜魂狩〜」における
主人公:伊達京介と妹でラスボス:時逆琉奈の関係も見てみたい。

京介と新しい世界を作ろうと誘い、京介を独占しようと感じられる琉奈。
おおまかな感情の流れでいえば、京介=まどか、琉奈=ほむらに相当するだろう。
しかし京介は琉奈の誘いを断り、琉奈は京介によって浄化される。
ここでも兄:京介を独占したいと望むほむらのような感情を持つ琉奈が描かれる。

偶然かもしれないが、時逆という苗字が、ほむらの魔法の設定とかぶるのは面白いし、
時逆琉奈には、現実とは違う嘘の世界を作る能力を持ち、他人と共有することもできる。
この琉奈の能力は劇場版まどかマギカで、ほむら自身が行っていた嘘の世界作りにかなり近い。

まどかマギカ・コゼットの肖像・魂狩-新房監督が描くもの

こうして、まどかマギカ・コゼット・魂狩と
新房監督のオリジナルアニメ作品を3つ踏まえてみると、
主要キャラクター2人が、

■愛するもの・愛されるもの
■愛を奪おうとするもの・愛を奪われるもの
■愛を独占するもの・愛を独占から解き放つもの

というような関係で、新房監督はそれぞれを作品に応じた形で描いているのがわかる。
「化物語」や「荒川アンダーザブリッジ」などにもこの要素はあると思う。

ただ、ほむらがコゼットのように愛するものを求めているとはいえ、
永莉がまどかと完全に一致しているわけではないし、京介もまた同様だ。
通底するモチーフはあるが、作品ごとで形は変えている。

「反逆の物語」は「反逆のコゼット」でもあったのか

さらに突き詰めて考えてみたい。

もしかすると「反逆の物語」とは
「コゼットの肖像」の別の可能性、
あるいは続きの可能性の話なのかもしれないことを。

「コゼットの肖像」では永莉が自分の絵を書くと決意し、
コゼットを突き放しコゼットは消えるわけだが、
その後、コゼットが復活して、永莉を愛し、彼を奪い返す展開があるとしたなら。

「反逆の物語」がTVシリーズで全てが終わった話から、
映画という形で続きを作った点を踏まえて
「コゼットの肖像」にもし続きがあったらとしたら、
「反逆の物語」のようになっていた可能性があったのでは。

もしかすると新房監督の中では、「コゼットの肖像」の別の可能性を
「劇場版 魔法少女まどかマギカ」で試しているともいえるのかもしれない。

まとめ

「魔法少女まどかマギカ」「コゼットの肖像」「The Soul Taker 〜魂狩〜」
と新房監督は違う作品を作りつつも、どこか同じモチーフを描いている部分がある。

それは、新房監督さんが常に言及し、取り上げ、多大な影響を受けている
故:出崎統監督は新作を作り続けながらも、通底するモチーフ・共通点があった方だ。

その意味では優れた作り手というのは、様々な作品を作りながらも、
一方で自分の中にある同じものを磨き続け、同じものを作り続けているのかもしれない。

<参考>満たされない物語と円環の理-「劇場版魔法少女まどかマギカ」考察
 
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[ 2013/10/27 10:05 ] 魔法少女まどか★マギカ | トラックバック(-) | CM(0)
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