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富野由悠季監督は大器晩成型である-「ガンダム Gのレコンギスタ」 

「ガンダム Gのレコンギスタ」の1話から3話までの先行上映を見た。

結論からいうと、富野由悠季監督はまだまだパワーアップしている印象。
齢72歳にしてこの境地。老いてますます盛んな黄忠のようである。
そんな想いもあって、次のようなツイートをした。




ますます富野監督はコンテを切って、新作を作ってほしい。

本編について

さて、監督の話題からは外れて本編の話題へ。
(以下、ネタバレ有りです)

3話まで見た感想は、退屈せず楽しく食い入るように見ていた。
高密度高圧縮に展開される物語。
その物語を盛り上げるように元気に動くキャラクター達。
宇宙世紀のビジュアル感とは違う感じを見事に表現する美術。
映像を見事に盛り上げる音楽。
そして間延びもない、スピード感溢れる映像。

全ての要素が渾然一体となって、エンターテイメントした作品に仕上がっていた。

生き生きと描かれるキャラクター

私がまず惹かれたのは生き生きとしたキャラクター達だ。

リギルド・センチュリーの宇宙エレベーターの世界に生きる
ベルリ達若者のエネルギッシュな姿に心がときめいた。
彼らは生きていることに鬱屈とせず、自分なりの信念があり、
恋愛にも積極的で男女ともに交じり合う姿が描かれているようにも見えた。

特に主人公のベルリ・ゼナムが好印象。
それは、1話でGセルフがやって来たら
ノリノリでレクテンに乗ってGセルフを抑えようと試み、
(しかも様々なギミックで抑えようとするのが良い)
色々な所に首を突っ込む好奇心旺盛さが見ていて気持ちが良かった。

また他にも2話のノレド達チアリーディングが踊るシーンや
3話で海賊部隊のクリム・ニックと辻親八さん声のおじさんキャラが
口論しているシーンなど元気なキャラが駆け回るのが良かった。

特に美少女キャラはどれも魅力的。アイーダ・ノレド・マニィ、どれもいい。

そしてMSの戦闘シーンでも、キャラクター達は嫌々戦うわけではなく
むしろノリノリで好戦的ですらある。
彼らは戦争したいわけではないだろうが、生きるため・何かをしなくてはと想う
キャラクター達が能動的に動く事で物語は進行していた。

どのキャラクターも一癖二癖があって生き生きしている。
なんだか現実に生きる私の方が生き生きとしていないと思ったぐらいだ。
こんなにバイタリティー溢れるキャラクター達を見て元気をもらえた。
 
疾走感ある演出

こうした生き生きとしたキャラクター達が画面狭しと世界を動く動く。
宇宙エレベーター内、キャピタルテリトリィ周辺、建物の中・・・。
ベルリ達は様々な所へ移動することで、動くこと自体の魅力を再確認させる。
そんなキャラクターに合わせて、カメラもよく動く。

矢継ぎ早の物語とよく動くキャラクターとカメラ、
そしてカット頭からキャラのアクションから始まるアクションカットの連続によって
間延びしない・疾走感ある展開が生まれるのだろう。

それにしても最近のアニメでここまでカメラが動く作品は無いような気がする。
このカメラを動かす(カメラを最大限に活用する)のが
高密度高圧縮展開を可能にさせる富野監督の演出方法なのだろう。
他には主人公やメインキャラが中心にいるショットで
後ろにいるモブキャラがさりげなく動いているカットが多いのも富野さんらしい演出。

一方で、1話最後のベルリとアイーダが身体的にすれ違うカットで
画面の背景がピンク色のイメージBGになり、スローモーションになった所は
富野監督が出崎統さんの演出の引き出しを使ってきたなと思った。
めまぐるしく動くキャラクターとカメラ演出が続く中だからこそ
ピンク色のイメージBGとスローモーションが際立って生きていた。

ちなみに1話から3話まで脚本:富野由悠季、斧谷稔コンテ。
濃厚な富野ワールドな映像体験であった。

光るギャグのセンス

何よりビックリしたのが、ギャグのセンスが光っていたことだ。
(富野監督の頭が光っていたわけではない。むしろ最近は少し毛がある)

特に3話はギャグのキレが良かった。

まず上記でも語ったが、
クリム・ニックと辻親八キャラが口論しているシーンがコミカルで面白かった。

またクリム・ニックがMSモンテーロに乗って、アイーダを救出するために
キャピタルテリトリィに向かう途中で森林内を突き抜けるのだが、
MSが森林内に現れたために、森林内の動物たちが驚きコミカル調になるシーンがある。
まるでギャグ漫画のようなタッチで動物たちが作画されているのだが、
そのシーンが作品内的にも浮いていないように描かれていたのが面白かった。

またMSに搭乗しているクリムが何かの衝撃でコクピット内のどこかにぶつかるなど
アクションつなぎからの、キャラがどこかにぶつかるというのが面白く感じられた。
他にはアイーダに乗っ取られたGセルフ達と一緒にベルリ達も連れられたことを知った
ベルリのお母さんの「自分の息子もですか!」みたいな台詞回しも面白かった。

2話で海賊部隊のカーヒルが死んで終わりという、結構ハードな展開があったからこそ
3話では強くコミカル調・ギャグ調に仕立て上げたのだろう。

富野監督作品のギャグといえば「戦闘メカザブングル」や「機動戦士ガンダムZZ」
の前半が思い浮かぶが、本作はこれらの作品以上にギャグが際立って洗練されていた。
言い換えればギャグっぽく描かれていても、世界観が壊れていない。
まさか富野監督のギャグセンスに磨きがかかっているのは意外中の意外。
その意味でも自分の中での新しい富野監督の一面を見られたのが最大の収穫だった。

まとめ

キャッチコピーの「元気のGだ」は伊達ではなかった。
まさに映像を通して元気をもらえたし、そして面白かった。

富野監督が前に手がけたTVシリーズである「キングゲイナー」以上に
本作は元気の面が強調され、より自然な形で画面に結実していた。
こうした作品を手がけられるのは、富野監督が健康で元気だからだろう。

ファンだから富野監督ばかりの話をしてしまうが、
吉田健一さんによるキャラクターデザイン。
レクテン、グリモア、モンテーロ含めてどれもカッコイイMS達。
前面に出すぎず、それでいて印象的にも聞こえる菅野祐悟さんの音楽。
作品を支えるスタッフ達の魅力的な仕事も光っていた。

「ガンダム Gのレコンギスタ」今後の展開が待ち遠しい。
 
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[ 2014/08/24 19:43 ] Gのレコンギスタ | TB(2) | CM(0)
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