ドラゴンクエストシリーズにおけるロト三部作の物語の凄さは、
ドラクエⅠの開始直後の、王様と勇者の会話にある。

「その むかし ゆうしゃロトが
カミから
ひかりのたまをさずかり
まものたちをふうじこめたという」
この「ひかりのたま」は、後のドラクエⅢのラスボス「ゾーマ」戦において
「ゾーマ」の闇の衣を剥ぎ取る為に使用された。
私は会話中に「ひかりのたま」という言葉が使われるのが凄いと思う。
それは「ひかりのたま」がドラクエⅠからドラクエⅢへとシリーズを経て、
きちんと回収された伏線だからである。
そもそもドラクエⅠが世に出る時点では、
家庭用ゲーム機初のRPGという点でも
商業的に成功するかどうかもわからないゲームであった。
もしかするとドラクエⅠだけで終わっていた可能性もあるわけで、
その場合はⅢも無いので、この「ひかりのたま」の伏線も未消化に終わっていただろう。
それがもしドラクエⅠの時点で、ドラクエⅢの物語まで想定したのであれば、
それはそれで完璧な伏線張りであったと思うし、実際に商業的に成功して、
伏線を消化してロトシリーズを綺麗に完結させたのも素晴らしい。
私の場合、ゲームで長い伏線を張って消化する試みができる事を教えたのは、
ドラゴンクエストシリーズだった。
そして、ドラクエⅢのエンディングの最後で
「TO BE CONTINUED DRAGON QUEST Ⅰ」と表記されるが、
ゾーマに「ひかりのたま」を使って倒したドラクエⅢの勇者が、
ロトの称号を得ることを知った上でドラクエⅠをプレイすると、
上のキャプ画像の王様と勇者の会話から始まるので、
ロト三部作の繋がりがより鮮明に感じられるのである。
Ⅰ→Ⅱ→Ⅲとプレイして、またⅠをプレイすることで
シリーズの構造がより鮮明に見えてくるのが素晴らしいと思った。
ちなみにゾーマを封じる事になった「ひかりのたま」を持っていた竜の女王が
死ぬ間際に残した卵は、後のⅠのラスボスとなる竜王であるという説があるが
もしこの説が正しいなら、Ⅲのラスボスを封じたアイテムを持っていた子供が、
その後、ひかりのたまを奪い去るのは皮肉な運命であると思う。
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I〜IIIの繋がりは見事でしたね。
IIIの最後でアレフガルドが夜だけの世界から昼だけの世界になってIに繋がっているのなんか特に。