「Gレコ」の物語の本質と「G」に込められた5つの意味について 

「Gのレコンギスタ」25話を視聴。
物語も佳境を向えて、話の終着点も見えてきた感じだ。
では「Gレコ」の物語とは何だったのか。

異郷から故郷へ戻る物語としての「Gレコ」

まず富野作品における物語の大筋の傾向として、
異郷の地から故郷・祖先の地へ、元の所へ戻ろうとする展開が挙げられる。

1999年の「∀ガンダム」では月から地球へ帰還する人たちの物語。
2002年の「キングゲイナー」ではウルグスクからヤーパンへエクソダスする人々の物語。
2006年の「リーンの翼」ではバイストンウェルから日本へ戻ろうとするサコミズ王の物語。

「Gレコ」も、月のトワサンガ・金星のジット団といった宇宙の諸勢力が
レコンギスタという名目で地球に戻ろうとすること。
そして地球育ちのベルリとアイーダ達が宇宙に旅立ち、
月と金星へ向かい、そして地球に戻ってくる事も含めて、
異郷(宇宙)から故郷(地球)へ帰ってくる物語といえる。

以上を踏まえると「Gレコ」の世界では人類は宇宙を目指すが
最終的には人類は地球に帰ってくる事を伝えたい物語ともいえる。

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それが明らかになるのは、ラ・グー総裁のムタチオンした姿にあると思う。
人類は地球から離れると劣化してしまう可能性を示したラ・グー総裁の姿は、
人は地球から離れて暮らす事ができない事を示しているように思う。

またピアニ・カルータことクンパ・ルシータ大佐のように
戦争を通しての人の強化が必要だと考えるものもいれば、
ジット団のように技術を振り回して地球に戻りたいと考える者もいる。
宇宙に進出した人類は、結局は人類の故郷である地球に
本能的に戻ってきてしまう習性があるのではという事を見せているのかもしれない。

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特に25話では大気圏突入を経て地球圏に降り立ったジット団の
クン・スーンやチッカラが地球に本物の土や緑があることに感動する姿を描いている。
金星で作られた水や台地や空気は地球とは違っていたと教えられていただろうし、
彼女たちもまた自分達を形作るオリジナル・ルーツに触れた事に心震えたのだあろう。

「Gのレコンギスタ」における5つの「G」

以上、「Gレコ」は異郷から故郷へ戻る物語として見ることが可能であり
本作におけるレコンギスタとは再征服運動という原義のように
人々が宇宙から地球に戻っていく事を指しているのだろう。

では次に「Gのレコンギスタ」の「G」とは何なのだろう。

①ガンダム(Gundam)

まずガンダム。ガンダムのアニメでGといえばガンダムなのだ。

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Gセルフ=ガンダム自身(そのもの)であり、G=ガンダムの意味は欠かせない。

②重力(Gravity)

次に挙げておきたいのは重力のGravityのG。

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※大気圏突入を試みる、カバカーリーとジーラッハ。

特に25話は大気圏突入という死線を越える展開だった点も含め、
人が宇宙から地球に戻ってきてしまうのは、
重力があることに他ならないのだろう。

よく「Zガンダム」では「重力に魂を引かれた人々」と
否定的なニュアンスで使われたりもしていたが、
「Gレコ」では「Zガンダム」のようなニュアンスはなく、
人が地球にいるのは、定めみたいなものとして扱っているのだろう。


一方で重力は物理法則的な意味の重力に留まらない。
キャラクターの心や感情を引っ張る重力もまた存在する。
今回25話では、マッシュナーが恋人のロックパイという重力に魂を引かれていた。

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恋人の死に完全に頭がおかしくなったと言われても
仕方がないように描かれるマッシュナーは
戦争中にいてもロックパイの幻影しか見えていなかったのかもしれない。

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またルインとマニィ、クリムとニックの2組の恋人同士の関係も
重力が働いているといえるのかもしれない。
大気圏突入という重力に身は引っ張られながらも、
二組の恋人同士の心はお互いが引っ張り合うことで身も心も離れない。
そんな様子を描くために大気圏突入のシチュエーションが用意されたといえる。

最後に戦争そのものが人間を引っ張る重力ともいえるのかもしれない。
マッシュナーもそうだが、マニィもルインと戦いに引っ張られているように見えるし、
戦争の激化によって、人々が異常なテンションと感情の昂ぶりを見せているのが
今回の25話の各キャラクターの描写で明らかになっていたように思える。

「Gレコ」は戦争が起こるメカニズムと全体主義についても描いている作品だと思うが、
戦争によって人々が変わっていく姿を描いているのもわかってきた。

③地・台地(Ground)

3つめは地・台地のGroundのG。
レコンギスタとの関係、宇宙から地球に戻る物語という点において、
このGroundのGが一番本作の物語の核に直結する。
人は地・台地なしに生きてはいけないのだろう。

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25話のラストカットのギアナ高地。
この絵を見て、宇宙から地球に戻ってきたという実感が湧いてくる。
しかし人類のルーツである地球の台地の上に降り立っても、
人々はまだ戦いを止めずにはいられない。リアルは地獄。

④地球(Globe)

GがGroundの地・地面のGでもあるなら、地球のGlobeのGでもあると思う。
台地があるのも水があるのも重力があるのも全て地球があってこそだ。

⑤元気(Genki)

そして最後のGは元気のGである。
人間が生きるのに必要なのは元気であり、
元気があるから何かを始められる。

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泣くことや怒ることができるのも、
トワサンガやジット団がレコンギスタ作戦をできるのも、
ベルリ達が宇宙へ旅立ち、地球へ戻るのも、
そして何より戦争を起こしてしまうのも、元気があるからである。

富野由悠季監督が70歳になってアニメーション制作を行い、
コンテを書いては修正できるのも元気を保っているからである。

そうアニメーションの実制作も、キャラクターが動くのも
全ては元気があってこそなのだと思う。

まとめ

改めて「Gのレコンギスタ」は
宇宙という異郷から地球という故郷へと戻ってくる
レコンギスタする人々の物語であり、
このレコンギスタを5つのGを織り交ぜて描いている物語でもある。

25話は各キャラクターが否応なしに好戦的になっていき、
戦争という重力に魂を引っ張られる様子が恐ろしくもあった。
こうした状況下に対し、主人公のベルリは最終回で
地球に降り立ったルインとクリムをどう止めていくのか。

いよいよ来週で最終回。
物語はこれで終わるが、ベルリ達の冒険は最終回以降が始まりなのだろう。
 
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[ 2015/03/21 14:17 ] Gのレコンギスタ | TB(10) | CM(0)
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