私が「響け!ユーフォアニム」が面白いと感じるのは、
私がイメージする京都アニメーションの作風と
本作の物語のありようがマッチングしているからだと思っている。
京都アニメーションの作風とは何か。
それは画面からにじみ出てくる生真面目さだと私は思う。
京都アニメーションの作品は全ての作品において
作画・演出・美術・撮影・仕上げともに、クオリティの高い画面を提供する。
そのクオリティの高さは、会社全体で作品に真面目に取り組んでいる姿勢を感じさせる。

例えばアニメの響け!ユーフォニアムのウリの一つであろう楽器の描き方
テカテカで線も多く、立体的にも質感も出して描かなくてはいけない。
描くのが大変だろう楽器も、楽器の演奏も逃げずに真面目に描く。
こうした会社全体から生み出される生真面目な作風が、
「響け!ユーフォニアム」の物語をアニメで描くのに適していたのではないだろうか。
「響け!ユーフォニアム」の物語もとても生真面目だ。
吹奏楽部に所属する各々が生真面目に部活に取り組む。
部活だけでなく、恋にも人間関係にも彼ら彼女達は真面目だ。
最初は全国大会に行くという目標に対し、
部員たちは半信半疑な態度をみせていたようにも見えたが、
徐々にその目標に真剣味が増してくる感じが毎回見てくると伝わってくる。
その真剣味が増してくることこそ、真面目さそのものだと思う。
部を辞めた斎藤葵にしても、大学受験と部活動のどちらを優先するかで
真面目に悩んだがゆえの退部だったのだろう。
また恋にしても葉月が塚本に片想いを寄せる、
人間関係でも、久美子と麗奈のやりとりも含めて、みんな真面目だ。
アニメ的な表現でいえば、漫符的な表情を見せる描き方もされるが
決してコメディ的な物語という描かれた方はしていない。
真面目さが画面に滲み出る会社が、極めて真面目に物語を志向する
原作と出会った時の相乗効果が、本作では発揮されていると思う。
おそらく「氷菓」も「響け!ユーフォニアム」と同様に、
真面目さがうまくマッチングした例ではないかと思う。

そんな8話で麗奈が
「私、特別になりたいの。他の奴らと、同じになりたくない」
「だから私は、トランペットやってるの。他の人と同じにならないために」
「なれる。もっと上手くなればもっと特別になれる。
自分は特別だと思ってるだけの奴じゃない。本物の特別になる。」
と言っていたが、この麗奈の言葉こそ、京都アニメーションが目指している
作品の作り方に符合するのではないかと思ってしまった。
つまり京都アニメーションは、アニメ界にとっての「特別な存在」になる。
その為の練習は惜しまないし、トランペットに対し真面目に取り組む。
こうした麗奈の姿勢は、京都アニメーションそのものを体現しているのかもしれないし、
もしかすると麗奈の宣言は京都アニメーションの宣言だったのかもしれない。
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