「緑山高校―甲子園編」を見て 

「緑山高校―甲子園編」を見ていた。

久しぶりに見たのだが、相変わらず面白かった。

本作の魅力の面白さは、高校野球の価値観を逆手にとったことである。
高校野球の価値観とは、練習に練習を重ねて野球に心身を捧げた高校生たちが
負けたら最後という戦いに身を投じた真面目の局地にある世界の事であり、
努力や根性といった価値観が残っている世界のことだ。

こうした努力と根性や真面目に対して主人公の二階堂含めた緑山高校のナインは
努力や根性や真面目といった価値観を信奉しない。
自分が一番目立ちたいと思う犬島。何かすぐやる気を無くす他の部員。
そして素質だけで相手を圧倒するが、精神面のムラがある主人公の二階堂。
自己中心的な選手が多く、チームワークを感じさせないナイン。

彼らのグラウンドの振る舞いは、現実で繰り広げられる甲子園的な美学には全くそぐわない。
そんな彼らチームワークがない緑山高校が、従来の甲子園的な努力と根性と真面目をもった
相手の高校を次々に撃破していくという構図が痛快なのだ。

特に天性の素質による剛速球相手を抑え、特大の本塁打で相手を打ち砕く
二階堂は甲子園的な努力や真面目さとはかけ離れた
目立ちたい・かっこつけたいが心情であり、緑山高校の象徴といえるだろう。

ただそんな自己中心的な選手達が自分勝手に動きながらも、
最後には勝つのだから、これはこれでチームワークとして機能しているのかもしれない
と思わせるのも、本作の面白さだろう。


画面作りもまた魅力的だ。

まず、太く勢いよく描かれるキャラクターの筆致と効果線を惜しみなく描くことで
迫真感溢れる画面に仕立て上がっている。

フェンスに頭からぶつかる、球を直撃する、スパイクを顔面で受ける
といった大怪我な描写や主人公の二階堂の剛速球をダイナミズムをアップとアオリをもって描く。

迫力あるシーンをダイジェストで繋げたようなカットの連続は
野球アニメの中でも珍しいかもしれない。


本作の監督は池田成さん。

池田さんといえば「サムライトルーパー」「ガンダムW」の監督だ。
緑山高校でも上記2作品で見せたような、
男性キャラのエキセントリックな部分を曲げずに美学を持って描き、
このキャラ達を対峙させながらドラマを描くのが抜群に上手いと思った。

池田さんはあにまる屋出身の演出家であり、本作はあにまる屋の制作。
あにまる屋は社内にトレーニング場を設け
バーベルやボディビルの器具がある異色の肉体派アニメスタジオだ。

緑山高校の躍動感と動きのダイナミズムに溢れた作風は
アニメにも身体があることを観る側に感じさせる力に溢れた作品だと思うが、
本作の肉体感は、肉体派のあにまる屋と池田さんによって可能になったと思ってしまう。
そういう意味では原作とアニメの制作がマッチングした作品だった。

EDの「遅れたきた勇者たち」も名曲。

野球アニメは面白い作品が多々あるが、
不真面目が真面目を圧倒する緑山高校もまた面白い作品の一つだ。
 
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[ 2015/08/14 09:09 ] ニュース | TB(0) | CM(0)
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