「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」25話「鉄華団」を視聴。

※サブタイトルが出る直前のこの絵が美しい。この絵を見せたいがために、
オルフェンズの物語を帰納法的に作ってきたのではないだろうか。
1話の感想記事で、長井龍雪・岡田麿里コンビの映画になぞらえて
「ガンダムが叫びたがってるんだ」と書いたのだが、
案外、1期最終話はここさけではないかと思った。
その理由として
アイン、ガエリオ、マクギリスが、
そしてクーデリア、オルガ、そして三日月のみんなの
「心が叫びたがってるんだ」といえるように
思いの丈を吐き出した展開になったからだ。

アインはクランク二尉への思いから、
クランク二尉を殺した三日月とバルバトスとクーデリアに対し
自らの正義心の全てを三日月に叫ぶ。
そんなアインの叫びを三日月は悉く否定するのだが…

ガエリオは自身を裏切ったマクギリスに対し
カルタのマクギリスへの思いと、マクギリスへの怒りを叫ぶ。
ガエリオも叫びもまた、マクギリスに蹂躙される。

マクギリスは、ガエリオへの友情心と怒りだけが
自分の心に響くことを穏やかに叫ぶ。

クーデリアは会議上で、ギャラルホルンが生み出す歪みと
火星と鉄華団の為に勇気を出して全てをぶつけて叫ぶ。

オルガは前回、作戦のために死んでくれと言ったが
マカナイを送り届け、目的達成後「生きろ」と鉄華団に叫ぶ。
この叫びこそ、オルガの本心なのだろう。
そしてオルガは、三日月への想いも叫ぶ。
三日月は戦いの為に、バルバトスに自身の体を捧げ
阿頼耶識のさらなる解放?を行うよう静かに叫ぶ。

アトラも番外的だが、アトラの三日月への思いも
彼らと同じように心から叫んでいるのだろう。
こう振り返ると、主要キャラの本心というか本音を
心から叫んでいく展開であるのがわかる。
言葉にしないとわからないものもあると
長井・岡田コンビの「心が叫びたがってるんだ」は描かれていたが、
オルフェンズもその延長線上的に、
各キャラの心の叫びを描いたように思えた。
まとめ
鉄血のオルフェンズの総評をまとめたい。
本作は鉄華団という任侠的繋がりとしての擬似家族を描き
その中で大人の理屈では彼らを救えず、報酬(生きる糧)を得ることこそ
子供たちが生き残る方法であるという物語を描いてきたと思う。
この報酬を得る中で起こってしまう、犠牲(人の死)を乗り越えて
オルガなり三日月なりが死を背負い生きていく事を描きつつ、
一方で散っていったフミタンやビスケットのように
大切なものを身をもって守ることも描いていた。
MSの戦闘シーンは高レベル。
序盤は何話かに一度という感じで戦闘シーンは描かれていたが、
後半はボリュームが増え、満足感ある仕上がりになっていった。
接近戦・格闘戦を金属の質感をも表現しながら
重量感溢れる作画で描いたのは
TVシリーズのアニメとして凄かったと思う。
また序盤の宇宙での戦闘シーンは、
互い勢力の作戦の妙味が描かれたのも面白かった。
横山克さんの音楽もまた耳に残るものであり、
重要なところでかかる曲で、盛り上がれたと思うし、
MISIAの「オルフェンズの涙」はとても良かった。
2期は火星への帰り道を描く物語になるだろう。
今来た場所は本当にたどり着く場所の中継点。
宇宙戦艦ヤマトでいえばイスカンダルだ。
そしてラスボスになりそうなマクギリス。
最後は三日月と戦いそうでもある。
三日月はアインとの戦いで阿頼耶識システムを酷使し
目と手の機能を失っているが、
最後には両目とも失ってしまうのかという予感を抱かせる最後だった。
三日月の目が特徴的にデザインされていたのも、
この事を描きたかったためだろうか。
いずれにしても秋の2期が楽しみである。
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