機動戦士Zガンダム 39話「湖畔」。
湖畔とは、予期せぬ運命的な出会いが訪れる場所。
宇宙と人工的なコロニーとMSと戦艦がひしめく中で
自然を感じさせ、人同士のふれあいが描ける場所。
1stではアムロとララァが始めて出会い、
Zではカミーユとロザミアが始めて出会った。




これらの出会いは共に悲劇(女の死)に終わる。
カミーユにとってロザミアの死は、
彼の精神崩壊に及ぶプロセスの中での
最後の決定打として見ている。
39話はこの決定打の始まりでもある。
湖畔とセットで押さえておきたいのが
表現における死の象徴に用いられる白鳥だ。
特に1stの空から湖へ下降していく白鳥の姿は
やがて死にゆくララァの姿を重ねていたのだろうか。
Zでも湖畔で白鳥を出した点では、
ロザミアも死にゆく運命をまず提示したかったのか。
また一羽で飛ぶ1st、複数羽で飛ぶZの差に
個人の物語(1st)と、集団の物語(Z)の差があることも見立てられる。
---------------------------------------------------------------------------
余談だが、逆襲のシャアのサントラにはSwan (白鳥)という曲がある。
この曲の後半部分がシャアとアムロの戦闘シーンでかかる。
アムロの夢のシーンでララァ=白鳥を連想させつつ、
白鳥の名を冠した曲で二人が戦う。ララァはいつも二人の間にいるのだ。
---------------------------------------------------------------------------
また「湖畔」は悩み揺れるシャアの葛藤を描いた話でもあった。


中立コロニー内にアムロの気配がすると感じてしまったために
流されるままにティターンズと戦闘状態に突入。
本来のシャアであれば、敵のハイザック2機を倒すなど造作もないだろうが
不利な状況と、近くにいたハマーンのプレッシャーを感じたのもあってか
結果的にコロニーを滅茶苦茶にしてしまった。
ダカールの演説が成功に終わり、一つ新しいステップを踏み始めたシャアだが
レコアの件もあってか、本調子にはまだ程遠い感じ。
まとめ
カミーユの新しい出会いと、シャアの苦悩。
どちらの出来事も、湖畔という場所を通して
Zガンダムの悲劇性を積み上げるエピソードの一つとして描かれたと思う。
- 関連記事
-