鉄血のオルフェンズの総括 

鉄血のオルフェンズ最終回を迎えて。

本作のキャッチコピーは「いのちの糧は戦場にある。」

その通りの作品になったと思う。

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三日月・オーガスのいのちの糧と血の物語

三日月は戦場だけがいのちの糧である事を体現するキャラクターだった。
ラスタルやマクギリスは戦場が野心の発露や今後の未来を作るための場であり、
ジュリエッタにとっては大義を証明する場所、
三日月は戦場=いのちそのものだった。

それゆえに三日月は平和な世界では生きられない。
厄祭戦という遺物であり忌まわしいガンダムに乗ることで
悪魔となってしまったからには
新しい未来を作るための生贄となるしかなかった。

ただ三日月にも希望はあった。子供のアカツキの存在。
かつてのアグニカ・カイエルはガンダムに乗り革命に成功し英雄として名を残したが、
三日月はガンダムに乗り悪魔となって散り、アカツキという血を残した。

オルフェンズは「血」の物語

鉄血のオルフェンズはタイトル通り「血」の物語。
キャラの死には必ずおびただしい血をもって描写された。
三日月の死も血を描いていたが、
アトラが身ごもったアカツキの誕生によって、
戦場の「血」から、繋ぐ生命の誕生という「血」を描いたことで
最後は三日月にも救いはあったという形を描いていた。

鉄華団は家族的団結をもった子供達の擬似家族集団が、
最後はバラバラになってしまいながらも、
協力者・理解者と共に生きていく事を描く結末となった。

鉄華団の成功と最後には失敗を描くことで、
若者たちの青春の蹉跌を描いた物語。
思うにオルフェンズは鉄華団で生き残った子供達が、
失敗を経て大人になっていく話だったのかもしれない。

それゆえに子供のままでいることが自身のアイディンティティでもあった
マクギリスや三日月は血をもって死ぬしかなく、
未来のビジョンを持つラスタルやクーデリアへの礎となるしかなかった。

MSアクションについて

MSアクションは「ガンダム00」以降の3スタで
培われた高速アクションの系譜を引き継いだ。
特に寺岡巌さんコンテ回は高速アクションと共に、
縦横無尽に動くアクションが見ものだった。

接近戦を描く設定の元に、機体や武器の重量感、装甲の破壊描写に注力した作画。
アクションがある回はTVシリーズでここまでやるのかと舌を巻いた。
特にMAを倒す回のバルバドスのアクションが最高にかっこよかった。

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一方で2期のダインスレイヴの登場で、
1期と戦闘の意味が変わってしまった事も描いていた。
ガンダムがいかに強くても、ダインスレイヴにはかなわなかった。
個人が武勇を誇る時代が完全に終わった事も描いていた。
それはアグニカ・カイエルの英雄性が終わったことも意味している。

最終回はメカが戦いの中で朽ちていきながら、それでも戦い続ける状況が好きだ。
それは破壊されながら戦う姿には(キャラクターの)ドラマが宿っているから。
味方を、腕を、血を失ったバルバドスが三日月が
それでもいのちの糧を戦場に求めて死の直前まで戦う光景は悲しくも美しかった。

手描きのロボットアニメが少なくなる現状。
ガンダムアニメが手描きロボットアニメの最後の砦だと個人的には見ている。
鉄華団の滅びと手描きロボットアニメの現状をシンクロして見ていた。
オルフェンズは最後まで頑張ったし、
作画演出的に新機軸をやろうとしていた事も伝わってきた。

好きなメカニックアニメーターさんが大挙して参加していた作品。
ガンダムが手描き作画メインでTVシリーズを手がけられるのはいつまでなのか。
 
まとめ

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オルフェンズの鉄華団は1期1話がどんぞこ。
以降徐々に体裁を整え、クーデリアを送り届けた1期最終話から2期1話がピーク。
そこからラストに向けて徐々に下降していく推移するアーチ構造で描かれる。
栄光と敗北の物語だった。

そして子供=孤児(オルフェンズ)と大人という構図を用いて
子供達が大人と対峙しながら生き抜いていく事を描いた物語でもあった。

長井龍雪監督と岡田磨里さんシリーズ構成による
若者達による「心が叫びたがってるんだ」「血を流し続けるんだ」ガンダム。
成功の物語ではなく失敗の物語であるがゆえに苦味がある作風となった。

世界は厳しい。そんな事を突きつけるガンダムだったのかもしれない。
だからこそ「いのちの糧は戦場にある」のだろう。
戦場は戦争する場所だけはないと捉えるのなら、
人はどんな場所であれ戦い続けないといけないのだ。
 
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バルバ「ト」ス
[ 2017/04/03 21:00 ] [ 編集 ]
しかしダインスレイヴは説得力無かったなあ
視聴者が小馬鹿にされてる感さえあった
[ 2017/07/22 15:38 ] [ 編集 ]
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