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メドッサの館にみる青年富野喜幸の心情 

鉄腕アトム192話「メドッサの館」を視聴。

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今回の演出は富野喜幸。「富野由悠季全仕事」を読んでから見ると、ゲストヒロインのドリームの不思議でつかみどころのない感じも含めてチョキ(富野監督の著作で登場する女性。虫プロを辞めCM制作会社へ転職するキッカケとなった人。)にしか見えなかった。また外の世界に出たことがないドリームをアトムは「外に出よう」と誘う展開に、富野の「虫プロを出たい」にという心の声が聞こえた。ドリームには富野自身を仮託しているようにみえる。
アトムとドリームの惹かれ合いそうにながらも最終的にはドリームは海の中で暮らしていく(詳細は本編参照)ことになる。結局、外に出る出たいのが海の中でしか暮らせない結果で終わる。ドリームの兄(アトムと敵対し最後は妹と一緒に海に暮らす)の馬が雪の中で死んでいくカットで終わるなど、外に誘われても(虫プロを出て転職しても)順風満帆ではないという想像をアトムを使ってシュミレートしているようだ。結局富野は転職するが再びアニメ界に戻り今に至る。

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確かに「富野由悠季全仕事」で富野監督が語るようにメドッサの館には当時の青年富野の気分が見え隠れするようにみえる。Gレコは富野成分が強いといわれるが、Gレコは主義主張や観念の強さであり、アトムは青年富野の生々しい感情の発露の強さである。まだ演出スタイルが確立されているわけでもないので(兆しは端々で見えるが)ストレートな感情がフィルムにのっている印象すら受ける。

こうした富野の虫プロ出たいという気分を醸し出す挿話の次の話がアトムの最終回になるのも面白い。
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[ 2022/10/22 20:03 ] ニュース | TB(0) | CM(0)
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