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工学的思考が新しい時代を拓く-インタビュ-富野由悠季 

今日、朝日新聞を見たら富野監督のインタビューが。
どうやら各大学の工学部のPR広告の企画で富野監督にインタビューしているみたい。



工学的思考が新しい時代を拓く
朝日新聞2009年1月19日広告特集 築く工学部へ行こうより!


地球有限論立脚して思考すべき時代

 昨今、世界を取り巻く状況を見ていると、21世紀という時代が、前世紀とは根本的に違うものになってきたという事を実感します。つまり20世紀というのは、常に右肩上がりに発展する文明論だったといえます。ところが、石油の埋蔵量といった資源の問題とか、温暖化といった環境問題のことを考えれば、地球というのは有限論なんです。有限の中で何十億という人類が1万年も、2万年暮らしていけるわけがない。今までのような右肩上がりの無限論は、一切通用しないのが21世紀なんです。

21世紀型問題解決ニュータイプ世代役目

 では、人類がこの有限の地球で生き延びていくにはどうするか。それはもう、資源を大切に使いましょうなんていう観念論では済まされません。例えば、20世紀後半から問題となっている地球温暖化は、18世紀後半から始まった産業革命以降、人類が使った化石燃料から排出される温室効果ガスの濃度が著しく上昇したことによって起きているといわれています。今すぐみんなで冷暖房を使うのをやめたって、温暖化がすぐに止まるはずがない。だから観念論ではなく、システム論、つまり工学、エンジニアリングという視点からものを考えなくてはならないのです。ものを消費しなければ生きていけないわれわれが、ものを消費を完全にリサイクルできる「循環工学」があり得るかと問われたときに、あり得ないというのは簡単です。でも、そういう前提に立っていたら人類は自滅するだけです。1997年に京都議定書が議決されましたが、この10年間でどんな進展がありましたか?工学をベースにして、旧態依然とした政治や経済という視点を叩き潰していかない限り、21世紀型の問題は突破できないと僕は思ってます。

 ただ、工学の思考回路で地球有限論に立ち向かっていくことを、僕らのようなオールドタイプの人間に任せてもダメだという気がします。自分と同年齢の優秀な方々を見ていると、どうも専門分野に特化しすぎていて、さまざまな技術を横につなぐという回路を持っていないと感じているからです。今、高校生ぐらいのニュータイプに、君たちが30歳くらいになるまでにやってくれと頼みたいのですが、若い世代の理工系離れが進んでいるわけですから、事態は深刻です。

向かう感性育てて理工系離れ食い止めろ

 この一番の要因は何なのか。僕は、やはりコンピューターゲームかなと思っています。ゲームというのは、決定的に自己埋没するシステムなんです。一方、工学というのは、どうしたら目指す成果に結びつけられるかということを追求していくもの。成果というのは、社会へ作用するものということです。社会でどういうふうに、ある技術を運用できるのか、そお手法を構築していくのが工学なのです。ゲームという自己閉塞する行為に染まった子どもが、外の世界に目を向けるわけがありません。この世代の理工系離れを食い止めるために最も重要なことは、親や教師が子どもたちを外に向かわせる感性を育ててやることでしょう。工学というのは、実はアートでもあります。だから、原理原則を見つめていくデッサン的感覚は必要です。昆虫採集や、カエルの解剖、モーターの分解でもいいんですけど、実験の積み重ねによって、何かグチャグチャしていることが、ある方向へ集約されることもあるのだ、ということを示すような理科教育が、もっと行われていくべきだと思います。

絵空事ではない現実立ち向かう工学面白い

 もう間もなく高校を卒業するという学生さんで、工学部を目指すという方には、こう申し上げたい。君たちの多くは自己閉塞するシステムの中で、ここまで成長してしまいました。だからこそ、あえて今、外に向かっていく己というものをつくっていかなければいけない、と。エンジニアにとって一番大事なことは、自己表現すると同時に、社会に技術を投下しなければならないということです。その技術とは環境を破壊するものではなく、リサイクルがきいて、10年後、100年後の地球や日本列島という「地力」を喚起するような技術です。そういう思考回路が必要とされているときに、6畳一間、4畳半一間の狭い世界に埋もれていて済むと思うな!ってことです。

 今から30年前に『ガンダム』をつくりましたが、そのときの想定は増えすぎた人口に地球の質量が耐えられなくなったということでした。が、もはやこれはサイエンスフィクションという絵空事ではなくなってしまいました。20世紀までの科学技術や工学的な知で示されていない新しい工学論を、君たち若い世代が構築していくのだと考えれば、工学はまず間違いなく面白い学問であり、実学でもあります。それこそ全人生をかけて取り組むべきものだと信じています。




 富野監督は高校受験で工業高校を志望していたが、受験に失敗し、工学科に入れなかった事が人生最初の挫折だったと過去のサンライズHPにあったオリジナルの肝という企画で高橋良輔に語っていたのを思い出した。本当に工学に憧れてたんだなぁと富野監督の工学にたいする想いが垣間見られたインタビューに感じられた。

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[ 2009/01/19 09:36 ] 富野由悠季 | TB(0) | CM(0)
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