今しがた見て来た所。
感想は
年甲斐も無いが、凄く凄く凄く良かった。
以下ネタバレ満載で書くと思うので、知りたくない方はご容赦を。
今回のヱヴァは「破」という言葉に集約されるように
今までの「エヴァ」の内容を「破壊」しし尽くしヱヴァ」にする試みだったといえる。
その「破壊」の象徴として存在がマリ(坂本真綾)だったように思える。
今回、やっぱりシンジは前と同じく使徒に乗っ取られた3号機EVAに攻撃できず
(ここで乗っ取られたパイロットがトウジではなくアスカに変更されたのは驚きだった)
ダミープラグで3号機を破壊されアスカは瀕死になる。
ここでシンジは前のエヴァみたいにEVAのパイロットを辞めるわけだが、
今回、彼をEVAのパイロットに戻すきっかけを作ったのが加持リョウジではなく
マリだったのには驚いた。最初はマリがシンジをパイロットに戻すのはこの本編中に
マリとシンジの間に1回しか接点が無く、繋がりが弱いので説得力に欠けると思っていた。
ただマリの意義が「破壊」にあるとしたら合点がいく。
彼女は今までの
「エヴァ」的価値観のキャラではなく
「ヱヴァ」的なキャラだったのだ。
マリは今までの「エヴァ」のように真面目な動機で動くキャラでは無いのだ。
そのシンジがマリに引っ張られて動く、それが「破」であり今回のヱヴァだったのだろう。
キャラクターデザインから見ても違和感がぬぐえなかったマリだが、
違和感そのものを醸成し作品を破壊するのがが目的ならこれも合点がいく。
「365歩のマーチ」を歌い確固としてるが、結構適当な感じで行動する。
そして2号機に乗ってゼルエルと戦ったり、ビーストモードになるわで
本当に「破」にふさわしい活躍をしたと思う。
もう一つ「破壊」の意味合いがあるとしたら、
映画中ではそれぞれのキャラが歩み寄り、幸せになろうとする流れであったのに
その幸せを形成する過程が「破壊」された事も含まれるだろう。特にレイがゲンドウにシンジと一緒に食事しようと誘いゲンドウもユイの面影を見て
同意をする所は幸せに向かおうとする流れの象徴的瞬間だった。
その見た瞬間時には本当にそういう場面が見られると思っていた。
一方ではアスカもレイに感謝したり、レイの食事会を滞りなく開かせるために
自分が3号機の試験パイロットに立候補し、ミサトに心境の変化を打ち明けたり
今度のヱヴァは変わったなぁと思っていたのだが・・・。
そんな些細な幸せは「破壊」されてしまった。
しかしその「破壊」される過程が余りにも悲劇的であるがゆえに感動するのであり
そして幸せをみんなで求めた過程があるからこそ、最後のシンジはレイを助けたいという
結論に到達し、前のエヴァとは違う意味で初号機の覚醒を経る事ができただと思う。
そしてシンジは、やはり逃げがちなのだが、その都度大きく大きく成長している。
ゲンドウをたじろがせるほど「父さん」と叫び、また最後も綾波に「来い」と
断定口調で叫ぶ等、男らしさが際立っている。
それにしても、戦闘につぐ戦闘であり、その合間には各キャラが幸せに
たどり着こうとする構成は見事だったなぁと思う。
またトウジの役割をアスカに背負わせる事によって、アスカの役割をぶれさせず
お話をコンパクトにまとめたり、そしてマリを2号機に乗せる。
シンジ・レイ・アスカが仲良くなる過程も使徒一体の戦闘で上手く見せるなど
本当に色々な点で構成が上手すぎてビックリしてしまった。
前回のエヴァはゼーレのシナリオ通りに進んだが、
今回は誰のシナリオで進むのだろうか。カヲル君も自分の意図で動いているし・・・
ただ、ここまで来たらシンジの能動的な態度でサードインパクトを見せてほしい。
「序」については良くできてるなぁぐらいの印象だったが
今回は
完敗ですね。
映像的には過剰につぐ過剰、過剰の累乗の連続だった。
車、自転車、ビル、戦車、人、全ての数が過剰でその濃密すぎる映像美には痺れた。
まさにCGならではの大迫力と言えるだろう。あとは余りにも映像の流れが
激しすぎるので動態視力が本当に必要だったし、情報量自体が過剰なので
それを追っかけるだけで精一杯だった。
原画には西尾鉄也 小西賢一 橋本敬史 山下明彦 黄瀬和哉 平松禎史
現ガイナの主力:今石 錦織 すしお 高村 吉成
本田雄 鈴木俊二 松原秀典 庵野や鶴巻も描いていて
旧ガイナと現ガイナ、IGの人脈総動員といった豪華面子だった。
挿入歌使用について。
スタジオカラーのクレジットでウルトラマンの音を挿入したり
「翼を下さい」「今日の日はさようなら」を歌わせたのは庵野テイストだよなぁ。
庵野監督の実写作品、ラブ&ポップのEDで「あの素晴らしい愛をもう一度」を
使った事を思い出したし、庵野監督はあの時代の曲に意味を見出しているのだろう。
もう一つ、楽曲について。有名曲が多数掛かっていたのはとりあえず置いておく。
「太陽を盗んだ男」という映画があるのだが前半でのシンジの登校時に流れた曲が
この「太陽を盗んだ男」での使用曲だったのでビックリ。
この作品、ヱヴァにも絵コンテやイメージボードで参加し
碇シンジのネーミングの由来にもなった樋口真嗣がとっても大好きな作品。
「太陽に盗んだ男」のDVD特典に樋口監督は多数コメントを寄せている。
庵野監督も本作が好きなのかもしれない。
あんましまとまってないけど、本当に良かったと言いたい。
パンフレット購入。1000円はちょっと高い・・・。
関連記事→【感想】ヱヴァゲリオン「破」を劇場版Zガンダム(富野監督)と比較する
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ホント今回は完敗です
感想の中で"マリの意義が「破壊」にある"とおっしゃってますが
確かにマリはいろんな意味で"破壊"をもたらしたかも知れませんね
>いちいち真面目な動機付けでキャラが動く必要は無く、シンジはマリみたいなキャラに
>引っ張られて動く、動いてしまったのが今回のヱヴァだったのだろう。
これ見て、「グレンラガンのカミナ」的な印象を受けました
ベクトルは違いますがカミナも真面目な動機付けで動くキャラではなく
自己の価値観と本能的なもので動くキャラでしたから。
マリは小難しい理由や事情がなければ動けなかった
いままでのエヴァのキャラクターとは思えないキャラでした。
だからこそ破壊をもたらす存在なんだろうね