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富野喜幸総監督が語るガンダム「映画」案の全貌【富野由悠季】 

今回は富野監督の昔のインタビューを紹介!!

アニメージュ1980年3月号に
「富野喜幸総監督が語るガンダム「映画」案の全貌」という記事が掲載されている。
これは「機動戦士ガンダム劇場版」の製作前に
映画の構成案を富野監督へインタビューするという内容。

当時の富野監督がどう考えていたのか
製作直前の生の声をお聞き下さい!!
 
インタビューは【続きを読む】をクリックし、ご覧下さい。 
 
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「10時間30分の一挙上映をもくろんでいます」
-ついにその青写真を語るときがやって来た-

「“総集編”という形の映画にはしたくなかったですね」

AM  まず「ガンダム」を映画化すると、何時間でまとまりますか?

富野 そうですね、だいたい3時間ぐらい・・・。

AM  3時間でまとまるんですか!?

富野 パート1は3時間です。

AM  パート1?

富野 ええ。ぼくは「ガンダム」を4部構成でやりたいんです。
第1部が3時間で、2,3,4部が2時間30分ずつ。つまりぜんぶで10時間30分ですね。

AM  じゅっ、10時間30分!?

富野 ま、けっきょくは夢物語にすぎないかもしれないけど、
ガンダムはそれだけの量を持っていると思いますので。

AM  「人間の条件」なみですね。

富野 それだけの時間を使っても、合体シーンとか敵側メカが登場する部分を
ぬいていかなければなりません。 また番外編的なストーリーもはぶいて。
それで一応は理想的な形になるでしょう。

AM  しかし、10時間30分・・・。


富野 ぼくは、単なる総集編は作りたくないんです。会話から目立つシーンだけを
ぬき出して、キリバリで2時間、3時間には“なりえない”ということなんです。

AM  富野さんが書いた小説式(ソノラマ文庫)にまとめるというのは

富野 たしかに、あれもひとつのまとめ方ですね。でも、文庫はあくまで活字だということで
「ガンダム」の観念論をざっと流したものなんです。それを映像に写しかえただけでは
「ガンダム」の話は伝わりません。ぼくは、TVシリーズ43話全体のふんい気を、
そのまま映画にしたいんです。だから、しつこいようですが、10時間30分!!(笑)

もちろん、興業的には不可能に近いでしょうが、
これだけの時間をいただけると本当にありがたい。
しかし、10時間30分も堅いイスにすわりっぱなしで見てくれる人なんているのかなぁ(笑)。
ぼくだったら、見に行く気、しないもんね(笑)。

AM  でも、10時間30分も時間がとれない場合は?

富野 そういうときは、もう割り切っちゃいますよ。
たとえば、2、3時間だったら「ガンダム」の中のひとつの話だけをまとめます。

AM  テーマをしぼるわけですか?

富野 そうです。極端ないい方をすれば、アムロとマチルダの話だけとか、
ランバ・ラルの話だけといった作り方です。それを2本くらい作ったうえで、
ララァとニュータイプの話を作ります。ということは、結局合わせて10時間半!!(笑)。
とにかく、TVの具体的なストーリーや構成は変えようがない。

AM  総集編には絶対になくならないということですか。

富野 本来、総集編というものは、あるべきではないんです。
「未来少年コナン」はフィルムをブツブツ切ってつなぎあわせて劇場映画化されたでしょ。
ぼくは「コナン」のファンだから、あの映画は見に行かなかった。
だいたい「コナン」を2時間に圧縮してしまうという発想自体がおかしいんですよ。
変わり果てた「コナン」を見るくらいなら、NHKが再放送してくれるのを
ひたすら待ってるほうが正解じゃないかな。


「第4部にはかなりの量の新作部分が加わります」

AM  具体的にはどうなりますか?


富野 TVの話数でいうと第1部は1話から12話、2部は16話から25話、
3部は26話から36話で第4部が37話から最終回の43話です。

AM  13話から15話がないですね。

富野 その3話は、製作ローテーションの問題上、
どこに入れても成り立つような作り方をしているのです。
ま、番外編的な話ということで、けずるのは残念な気もするのですが。

AM  13話「再会、母よ・・・」などは人気がありますからね。

富野 できがよすぎた(笑)。本来はそう重要ではないと思いますよ。
ほかにも、8話・11話・30話は同じ理由でカットします。
22話もかなりけずられるでしょう。ファンの立場から見れば、
残してほしいところが消えることもあるでしょう。
たとえば、ミライさんやセイラさんのヌードは消えますね。
まことに残念ですねえ(笑)。ファンに怒られるかな(笑)。

AM  各パートの構成はどうなりますか。

富野 第1部では登場人物の説明、そしてホワイトベースがサイド7からルナツー、
そして地球に降りてガルマと戦うところです。
「ガンダム」の背景となる地球とジオンとの対立の鳥瞰図を描くわけですね。
10本分をまとめるために、ほかより長い3時間をかけるわけです。

AM  第2部は?

富野 ここは現実に起こっている戦争の状況説明。
アムロの脱出とランバ・ラル、ハモンとの出会い、
そしてゲリラ戦からリュウ・ホセイとマチルダの死ですね。
戦場での敵味方の人間話を生かします。

AM  第3部は?

富野 ここがいちばん大変ですね。シャアが再登場して、
地球から宇宙に出て行くのをフォローすると、かなり長くなるんです。
とはいえ、これは基本的に動かせない。
ですから、カイ・シデンの話がかすむ可能性も出てきます。

AM  ミハルとのエピソードですね。

富野 本来なら、ただのエピソードにすぎないけれど、カットすると第3部の頭が軽くなる。
かといって唐突にこのエピソードがはいるのもおもしろくない。ああ、悩んじゃうなぁ(笑)
ともあれ、アムロが戦場で力を発揮しはじめ、ニュータイプのきざしを見せます。

AM  第4部はニュータイプ中心ですか?

富野 もちろんそうです。だが、このパートは基本的にはTV版をそれほどカットしなくても
2時間でおさまっちゃう。ここはかなりの量の新作部分が加わるでしょう。

AM  手なおしですか?

富野 単なる手なおしではすみません。じつは、37話からの7話は、
いろいろな意味で急ぎすぎた部分があるんです。
もう少し、じっくりと気分を投入して作りたいですね。
TVではできなかったところまでドバっと出せるような作り方をしたい
-これが、ぼくたちスタッフの希望でもあるわけです。
そして内容を充実させるために、第4部も2時間30分になりますね。
こうして4部構成にすると、一応起承転結の形をとるわけです。

AM  4部に分けることで、なにか問題は生じますか?

富野 そうでしょうね。やはり登場人物の問題かな。
たとえば、ララァは第3部の後半で顔を見せて実際に翔びまわるのは第4部になりますね。
どうかな、それで見ている人は納得してくれるかな。
まあ、その部分さえクリアすれば、あとは問題ないと思いますよ。

AM  編集はどのように行いますか?

富野 まず、アフレコ台本の編集ですね。こりゃ大変だろうな。
本当にやるとしたらえらく時間を食うでしょうね。
あーこわい、こわい(笑)。まあ、それさえすんでしまえば、スムーズに運べるでしょう。 


「作業の第一は、安彦さんに再チェックしてもらうことです」

AM  ところで、10時間以上となると、いままでにはない形態ですね。

富野 そうですね。やっぱり見ていて死ぬだろうな(笑)。
ある人が「ガンダム」の全話をビデオに取ってまとめて見たというんですけど、
ぼくにはそんな根性ないもんね(笑)。ともあれ4部構成で
10時間以上というこの構成論を対外的に認めていただければ嬉しいですね。

AM  というと?

富野 これは「ガンダム」だけの問題ではないと思うんです。
こういう形態で「ガンダム」という作品が製作される場合、
他の作品についても2クールなり4クールを2時間でまとめろとはいえなくなるんですよ。

AM  アニメ映画全体にかかわることですか。

富野 また、ファンの立場からもいえると思うんです。
たとえば「ガンダム」が放映されなかった地域の人や、
時間帯によって全話をフォローできなかった人たちに、TVに近いフィーリングで
作品がとどけられるのなら、これはやはり悪いことではないはずです

AM  なるほど、そうですね。

富野 もちろん、その作品を持つ基本を変えない形でです。
「ガンダム」の細かいディテールまでは無理でも、映画の4部をおさえ見ている人が
理解してくれるならばいいことだと考えるわけですね。

AM  そうなると、総集編といえども、新しい形ができるわけですね。

富野 そうです。単にロボットがあばれまわるものと一見、
見られていたものが、実は大きなテーマを含んでいる。
そういったアニメーションは「ガンダム」だけではありません。
全話を通して見た内容は、短時間ではまとめ得ない“何か”があるはずですよ。

AM  それを見せたい?

富野 そうです。「ここが見せたい」という作り方を、すでにTVでやっているわけです。
アニメーションというのは、はっきり子供向けと指定できる部分と、
そうでない部分が同時に存在しているのです。つまり―作家の主張です。
それが1本通っているアニメーションは、
ダイジェスト、短時間のダイジェストにはできません。
「2時間でやっちゃってよ」などとおっしゃる前に、その事を知っていただきたい。

AM  もちろん「ガンダム」では、富野さんの主張ということですね。

富野 ぼくの場合、シナリオ作成にもかかわっています。
それくらいやらないと、ひとつのトーンは通りません。
セリフなどもぜんぶチェックしてぼくのことばづかいになっています。
ま、ライターの方からはきらわれているでしょうね(笑)。
もう、いっしょに仕事してくれないんじゃないかな(笑)。

AM  そんなことはないでしょう。「ガンダム」のチームワークはいいようですが。

富野 ええ、とてもよかったですよ。
本来、あのチーム構成だと、どうしてもスタッフ不足になるんです。
しかし、みんな爪先だってめいっぱいやってましたからね。

AM  作監の安彦良和さんは、体までこわされましたね。

富野 殺人的に忙しかったですからね。ですから、彼が倒れた後の作画は、
全てチェックし直して作りたいと思っています。
それがこの映画作製のまず第一ですね。それは安彦君の希望でもあります。
彼が入院中のときは、そういう意味でのフラストレーションが積みかさなって
いるでしょうから。それを思い切りはき出せるような映画の体制にしたいですね。

AM  実現されれば素晴らしい内容になりますね。

富野 そうですね。こういった形式は日本初でしょうし、私たちもファンも満足できると思うんです。
ただ、長すぎることが問題ですね。できることなら6時簡にまとめたい。

AM  6時間というと?

富野 VHSの6時間ビデオにぴったりだから(笑)。
でも「ガンダム」では無理だなぁ、量が多いから。

AM  しかし、現在はかなりの量を持つ作品でも、
    短いダイジェストにしているものもありますが。


富野 これは―本当は気がつかなければならないんですが、
20年近くTVでアニメ文化を送ってきて、いまが刈り取りの時期だと思うんです。
そういう新しい時代に、「鉄腕アトム」を放映しているところと
まったく同じ発想で、アニメーションをとらえている面があると思うんです。
われわれ送り手は、そのことに気がつかなければいけない。
「ガンダム」は、その最初の形にしたいですね。                    (了)



この4部作・10時間半一挙上映構想は実際にはどうなったか。3部作構成になり
1作目の上映時間が137分、2作目哀・戦士編が134分、3作目めぐりあい宇宙編が141分。
合計すると6時間52分。これは最終的に6時間にまとめたいという数字に
結局は近づいたわけだが、実際には6時間構想で動いていたのかなぁと感じた。

結局、このインタビューで富野監督が言ってるようにガンダム以降、
松崎健一氏以外のライター、星山博之氏、山本優氏、荒川芳久氏とは仕事は行わなくなった。
(星山氏はターンAで再び仕事をすることになるが)
「もういっしょに仕事をしてくれない」発言にはこの事を示唆しているようだ。

また、映画制作が途中でリタイヤした安彦氏のリベンジの機会としての場であると
富野監督が認識してるのは嬉しかった。
 
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[ 2010/08/22 23:58 ] 富野由悠季 | TB(0) | CM(0)
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